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ユージン・カスペルスキーのサイバー兵法

産業界のサイバーセキュリティが
極めて重要である理由

ユージン・カスペルスキー [Kaspersky Lab 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)]
【第3回】 2016年6月9日
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産業のネットワーク利用は
どこまでも進む

 パーソナルコンピューターとスマートフォンの革命によって、コミュニケーションのあり方が一変した。しかし、この大きな変化の裏側で、これに劣らず重要な革命があったことを忘れてはいないだろうか。

 それは、産業用制御システム(ICS:Industrial Control Systems)のデジタル革命だ。ICSが管理・運用するのは、我々の身の周りにある現実の世界であり、その対象は製造、交通、重要インフラなど多岐にわたり、醸造所の設備といったものまで含まれている。

 エレベーターも「スマート」になり、遠隔測定データをデジタルチャネル経由で送信して、すべてが正常に機能していることを確認できるようになっている。こうした新たなデジタル技術の導入によって、産業設備の安全性が高まり、遠隔での操作や更新が容易になり、全般的に効率性も向上している。

 製造業へのコンピューター導入は、実際には1960~1970年代ごろから始まり、世界中で、特に先進国でめざましい進歩が見られ、経済が大いに発展した。日本も例外ではない。

 現在、デジタル機器や企業ネットワークを利用していない業界は、世界中を見渡しても1つとしてない。産業システムではコンピューターはあらゆる所に存在し、数千年続く貴金属の採掘から、3Dプリンティング、バイオ技術に至るまで幅広く使われている。この流れが逆行することはない。

 近頃、第4次産業革命という言葉をたびたび耳にする。新しい「スマート」技術を基盤とし、工業生産では、データ交換センサー、自己学習型ロボット、3Dプリンターなどを相互に接続し、これらがすべて連携することで、個性的な製品を今までより短期間で効率良く製造することが可能となる。

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ユージン・カスペルスキー [Kaspersky Lab 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)]

ユージン・カスペルスキー(Eugene Kaspersky)
1989年、暗号学を学んでいた際に自身が利用していたPCが「Cascade」ウイルスに感染したことで、サイバーセキュリティにおけるキャリアを意図せずスタートした。1997年にKaspersky Labを設立し、2007年にはKaspersky Labの最高経営責任者(CEO)に任命された。2013年、取締役会長に就任し、現在に至る。2011年にSYS-CONの「World's Most Powerful Security Exec」 (世界で最も影響力のあるセキュリティエグゼクティブ)に選出され、2012 年には英プリマス大学から科学名誉博士号を授与された。また、その世界規模でのITセキュリティへの取り組みが評価され、Foreign Policy誌の「2012年 Top Global Thinkers」(世界規模で考える人)の1人に選出された。


ユージン・カスペルスキーのサイバー兵法

サイバーセキュリティ分野の世界的な第一人者であり、セキュリティ企業Kaspersky Labの取締役会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるユージン・カスペルスキー氏が書き下ろし寄稿。世界を取り巻くサイバーセキュリティの最新事情を独自の視点から分析、日々変化する脅威から企業や個人はどうやって身を守ればいいのかを指南する。
 

「ユージン・カスペルスキーのサイバー兵法」

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