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データの分析で「変化」の先を読む
中堅企業を飛躍させるIT活用術(1)

上村孝樹 [ジャーナリスト/コンサルタント]
2010年9月6日
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 市場構造が大きく変わり、変化が激しい時代。前年のことや他社の事例を踏襲しても、もはや成功はおぼつかない。そうしたなかで、最新の状況を詳細にとらえるデータ分析の重要性がますます高まっている。ただしその際に、全体状況を平均値でとらえるだけでは不十分。個別の問題に切り分けて対応していくことが必要になる。

 たとえば、顧客満足度を向上させるには、全体の納期遅延率が目標値以下であればよいわけではない。個々のどんなケースに遅れが生じているのか、その原因は何なのかを1件ごとに追求して、解決策を立案・実行することが求められる。

 しかし、大企業に比べて使えるリソースが限られる中堅企業が、すべてのケースに対応していくことは難しい。そこで重要となるのが“選択と集中”である。取引顧客のなかからデータ分析により顧客を重要度に応じて分類する。新規の顧客を増やすことが難しい現在の市場環境では、重点顧客を深掘りする戦略が重要である。“よいお客様”に的を絞り、求められる価値を提供し、長い付き合いを続けることが、ビジネスを継続するために大きな意味を持つ。

 重点顧客に対して、一歩踏み込んで詳細に取引データを分析し、「直近の取り引きはいつまであったのか」「ここ半年の取引額に異変はないか」「注文の仕方に変化はないか」といった深い切り口で見ていく。変化への予兆をつかみ、素早く対応策を立案・実施していくことが不可欠となる。

 こうした問題解決のために役立つデータを得るためには、企業の情報システムにも工夫を加える必要がある。個別の取引データに、日付や担当者の情報を付加してタイムスタンプ付きの“生データ”のかたちで蓄積するのも一つの方法だ。個別の問題をきめ細かく調べていくには時系列の生データを分析することが必要となるからだ。

 またシステム上の工夫として、プロセスごとのデータの連携にも注意を払いたい。業務は「受注」「生産」「物流」など複数のプロセスのつながりから成り立ち、データがプロセス間の伝達役となる。納期が遅いといった場合に、どのプロセスに問題があるかを特定するには、各プロセスのデータがつながっていれば、業務のどのプロセスで問題が起きているのかがスムーズに調べることができる。

 生データをベースにデータ分析し、全体から個別へと段階的に分析を繰り返し行っていくことで、仮説検証しながら、自社の改善点が明らかになる。中堅企業だからこそ、生データを蓄積する仕組みを作り、いち早くデータ分析を始めることが、選択と集中で勝ち抜く第一歩といえるだろう。

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上村孝樹 [ジャーナリスト/コンサルタント]

「日経情報ストラテジー」「日経アドバンテージ」(ともに日経BP社)などの編集長を経て2005年に独立してフリーに。経済産業省IT経営応援隊「IT経営百選」選考委員会委員長などを歴任。事業創造大学院大学の客員教授も務める。


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