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英国民投票めぐる中国の「皮算用」、離脱より残留か

ロイター
2016年6月8日
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英国で23日に実施される、EU離脱の是非を問う国民投票で、他国の一部指導者たちが英国のEU残留への支持を表明する一方で、中国は鳴りを潜めている。写真は中国の習国家主席とキャメロン英首相。ロンドンで昨年10月撮影(2016年 ロイター/Suzanne Plunkett)

[北京 5日 ロイター] - 英国で23日に実施される、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票で、他国の一部指導者たちが英国のEU残留への支持を表明する一方で、中国は鳴りを潜めている。

 だが実際は、経済的な利害関係に重大な結果を及ぼすことから、中国もひそかに「残留」派に勝利してもらいたいと考えている。

 英国と中国は過去数年間、良好な関係にあり、それに伴って経済的な結びつきも強くなっている。例えば、中国は自国の金融市場や規制を改革するうえで、英国にアドバイスを求めている。一方の英国も、電力や高速鉄道などの分野において中国からの投資を必要としている。

 「欧州市場に参入する方法として英国に投資し、同国を他のEU27カ国への懸け橋として使っているとすれば、英国のEU離脱によって、その足場を失うことになる」と、中国商務省に属するリサーチセンターの副センター長は5月、同省が発行する新聞でこう述べた。

 外交筋は、強く団結した欧州を求めることによって、中国は「残留」派を暗に支持しているとの見方をしている。習近平国家主席は昨年10月にキャメロン英首相にこのように求め、王毅外相も先月に同様の発言をしていた。

 「このように間接的な方法で、英国のEU残留を支持するというメッセージを中国は伝えている」のだと、北京にいる西側のある外交官は、中国当局者との会話に触れて語った。

 そして誤解を避けるため、中国の国営メディアは、なぜ英国は国民投票をしてまでそのようなリスクを冒すのかと疑問を投げかける声を紹介すると同時に、英国が「ブレグジット(EU離脱)」を選択した場合に想定される経済的・財政的な影響を広範囲に報じている。

 中国の金融ニュースサイト「FX678.com」は先月、「ブレグジットをめぐる国民投票はゲームではない。英国民はまだおびえているのか」というキャプションとともに、「英国の夢」と書かれたロケットがEU市民に払いのけられている漫画を掲載した。

 同サイトは、EU離脱が英国の成長と通貨ポンドに打撃を与えると警告。また、より小さな影響が「世界に打ち寄せる」とした。

ブレグジットで生まれる機会

 自国の政治問題に干渉されないためにも、中国は他国の内政問題にコメントすることを控えてきた。そしてメディアの議論は、英国がEU離脱を決めた場合に生じ得るチャンスについても注目している。

 中国人民銀行公認の「チャイナマネー」誌は先月、EU離脱なら、英国は中国と自由貿易協定を直接結ぶことが可能となり、そうなれば英国で活動する中国企業、または中国にある英国企業にとって機会が創出される可能性があると指摘。「離脱後、中国の広大な市場は、英国の輸出ニーズに応えることができ、両国の協力は拡大し、深化するだろう」としている。

 中国と英国は、人権問題と英国の植民地であった香港の未来をめぐり対立してきた歴史があるが、輸出に依存する中国は、英国を自由貿易の強力な支持者として高く評価していると、外交官たちは話す。

 中国が求める市場経済国の地位に関して、英国はEU内における顕著な中国の支持国である。市場経済国と認定されれば、中国はEU域内への輸出がより容易となる。

 「もし英国が離脱すれば、中国はEU内で自由貿易を支持する大国を失うことになる。中国はフランスやドイツに支配される欧州を望んではいない」と、北京にいる別の西側外交官は語る。

 外交官たちは、中国がEUを米国に対抗する不可欠な勢力とみていると指摘する。

 中国のある外交筋が匿名を条件に語ったところによると、利己主義が最終的にキャメロン首相率いる「残留」派に勝利をもたらすことを中国は期待しているという。

 「英国民は結局、残留が最大の利益と考えて投票するだろう。離脱に票を投じれば、スコットランドの独立投票も避けられず、英国の終わりを意味することになる」とこの外交筋は語った。

(Ben Blanchard記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

 

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