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サムスンが懸けるバイオ後続品事業、新たな収益源となるか

ロイター
2016年6月9日
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韓国サムスン・グループは、急成長が見込まれるバイオ後続品市場で他社に先駆け製品を投入するため、惜しみなくリソースを注ぎ込んでいる。写真はロゴ、ラスベガスで2013年1月撮影(2016年 ロイター/Rick Wilking)

[ソウル 7日 ロイター] - 韓国サムスン・グループは、急成長が見込まれるバイオ後続品市場で他社に先駆け製品を投入するため、惜しみなくリソースを注ぎ込んでいる。4年前に後続品(バイオシミラー)を開発するサムスン・バイオエピスを設立。スマートフォン事業の収益が悪化するなか、新事業で新たな収益源確保を目指す。

 バイオシミラーは、オリジナル製品の特許が切れた時点から販売が可能。アライド・マーケット・リサーチによると、欧米で販売されている主要バイオ医薬品10種類以上の特許は今後4年で切れる。そのため市場規模は、2014年の26億ドルから2020年までに266億ドルに拡大すると期待されている。

 畑違いのバイオ医薬品事業で製品開発を急ぐため、サムスンは多くの人材や資金を注ぎ込んでいる。米バイオ医薬品大手バイオジェンからの出資を取り付け、スイスのノバルティスや米イーライ・リリーなどからベテラン社員を引き抜き、若手人材も多く確保した。バイオシミラーの販売では、バイオジェンや米メルクと提携した。

 まだ黒字化していないものの、バイオエピスは2020年には1兆ウォン(8億3900万ドル)の売上を目指す。米市場での株式公開も計画している。

開発期間を短縮

 いち早く製品を販売するため、バイオエピスは開発期間の短縮に力を注ぐ。米アムジェンのリウマチ治療薬「エンブレル」のバイオシミラー開発では、300人のリサーチャーが1500の実験を行い、約100基のバイオリアクターを稼働させている。

 競合他社がこれほどのリソースを割くことは難しい、とアナリストは指摘する。バイオシミラーの開発だけを手がける企業は通常小規模の新興企業であることが多く、一方で大手製薬会社は新薬開発に注力する傾向があるためだ。

 ユージーン・インベストメント・アンド・セキュリティーズのアナリスト、Han Byung-hwa氏は「スピードは、競合他社よりも投資資金が多いことを意味する」と指摘する。

 バイオエピスは、当局の認可が下りたらすぐに製品を販売できるよう、臨床試験を行う前に大量生産体制を整えるというリスクもとっている。

 バイオエピスの製品開発部門のブライアン・ミン副社長は「われわれの業界では工程自体が製品だと言われる。工程次第で全ての開発段階で時間短縮が可能になる」と語った。

 バイオエピスは先月欧州で、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の関節リウマチ薬「レミケード」のバイオシミラーの認可を得た。「レミケード」のバイオシミラーは、韓国のセルトリオン<068270.KQ>が開発した製品の方が先に認可を得ているが、同社は開発に約7年もの時間をかけた。

リスク要因も

 コンサルティング会社のデロイトは、医師や規制当局が比較的バイオシミラーになじみがないことから、普及が遅れるというリスクがあると指摘する。

 業界関係者は「ある地域ですぐに承認されたからといって、開発中の医薬品や同じ医薬品がすぐに他の地域でも承認されるとは限らない」と述べ、「様々な変動要因があり、スピードもそのひとつだ」指摘した。

 多くの資金を注ぎ込んで失敗した時の代償も大きい。デロイトによると、ジェネリック医薬品の開発コストが通常100万─500万ドル程度なのに対して、バイオシミラーの開発コストは1億─2億ドル。

 前出のHan Byung-hwa氏は「バイオ医薬品事業では常に多額の投資が求められる。短期的に結果が出なくても、投資による負担は大きい。成功するためにサムスンは業界の全体像を把握しながら投資を続ける必要がある」と語った。

 (Se Young Lee記者、Joyce Lee記者 翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)

 

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