ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

ドル調達コスト半年ぶり高水準、英離脱リスクで資金確保急ぐ邦銀

ロイター
2016年6月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
日本の金融機関などがドル建て投資を行う際のドル調達コストが半年ぶりの高水準に達している。写真はブダペストで2011年11月撮影(2016年 ロイター/Laszlo Balogh)

[東京 10日 ロイター] - 日本の金融機関などがドル建て投資を行う際のドル調達コストが半年ぶりの高水準に達している。6月末に向けた外銀のバランスシート縮小で、ドル供給が減少する一方、英国の欧州連合(EU)離脱リスクなどを見据えた邦銀がドル資金の確保を急いでいることが背景にある。外貨建て投資の採算確保へ、一部邦銀はドル預金の取り込みを進めているが、まだ部分的な動きにとどまっているという。

締まるドル需給、6月末に重なる要因

 日本勢がドル建て投資のヘッジ手段として使う円投/ドル転スワップの1カ月物のベーシス(日米金利差からの乖離)が10日、103.13ベーシスポイント(bp)と昨年12月17日以来、6カ月ぶりの高水準に達した。

 ベーシス込みの本邦勢のドル調達コストは1カ月物で147.83bpまで上昇、同じく6カ月ぶり高水準となり、現在121bp付近の米国債5年物利回り

 これまでも毎四半期末に向かう時期には、ドル供給サイドの外銀がバランスシートを圧縮するため、スワップ取引でドル供給が減り、結果的に、円投/ドル転コストが上昇するという季節的要因が観察されている。

 しかし、今年の6月末は、英EU離脱リスクという新たな要因が加わり、コスト増圧力が高まっている。

 SMBC日興証券の為替外債ストラテジスト、野地慎氏は「ブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる国民投票が2週間後に迫り、投資家は本格的にリスクヘッジを始めたようだ」と指摘。このリスクヘッジの動きが、米国債利回りの低下やベーシスの拡大の背景だと分析する。

 同氏によると、ブレグジットの影響で、為替スワップのみならず、コマーシャルペーパー(CP)や譲渡性預金(CD)を含むドル建て借入のロールオーバー(借り換え)が安定的にできなくなる事態を想定した本邦勢が、前倒しでドル資金を厚めに確保しようとスワップ市場に駆け込み、ベーシスに上昇圧力を加えている。

リアルな恐怖

 ベーシスは、4月下旬から5月下旬にかけて低下傾向を示していたが、5月27日に、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が「今後数カ月での利上げはおそらく適切」と発言し、米早期利上げ期待が膨らんだ直後から、上昇を開始した。

 これは、6月にも米国が利上げに踏み切ると予想した欧米銀がドル供給を絞ったためだったが、6月3日の米雇用統計を受けて米早期利上げ期待が急速にしぼんだため、ベーシスも下がりかけていた。

 しかし、ここにきて「可能性が低いとして軽視していたブレグジットが、リアルな恐怖に変わり始めている」(外銀)とされる。米資産運用会社ブラックロックは9日、金融市場は英国がEUを離脱するリスクを過小評価している可能性があると示唆した。

米金利は一段と低下

 財務省のデータによると、日本の居住者による海外株式投資と海外中長期債投資は合計で、3月に約7.2兆円の買い越しとなり、過去最高水準に達した。4月は8200億円まで縮小したが、5月は1.8兆円と再び膨らんだ。

 市場では「新年度入り後、本邦勢が対外証券投資を大幅に増やしているわけではない。ただ、ハイ・イールド債など一部のアセットクラスへの投資は続いている」(運用会社ファンド・マネージャー)とされる。為替スワップは、高利回り債(大半がドル建て)等への投資の際のヘッジ手段として使われている。

 他方、米10年債

 大手邦銀では、スワップ経由のドル調達コストの高騰や不安定性を回避し、外貨建て投資の採算性を改善するため、ドル預金の取り込みを進めている。

 ただ、「ブレグジット懸念でスワップが急上昇するところをみると、ドル建て保有資産規模との比較で、ドル預金はまだ部分的、限界的な水準でしかない」(国内アナリスト)との指摘も出ている。

 英国のEU離脱の是非を問う国民投票は23日に迫っている。

(森佳子 編集:石田仁志)

 

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


ロイター発 World&Business

ロイター提供、日本と世界の最新ニュースをお届けします。

「ロイター発 World&Business」

⇒バックナンバー一覧