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長期金利が過去最低更新、日銀マイナス金利深掘り警戒再浮上

ロイター
2016年6月11日
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6月10日、10年最長期国債利回り(長期金利)が、約2カ月ぶりに過去最低を更新した。写真は都内で2010年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 10日 ロイター] - 10年最長期国債利回り(長期金利)が10日、約2カ月ぶりに過去最低を更新した。欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国民投票への警戒感や、世界的な景気懸念に加え、日銀がマイナス金利幅を拡大しつつ追加緩和に踏み切るとの観測が市場で再浮上し、金利低下圧力が強まった。

思惑呼ぶMUFG系証券の大量落札

 国内銀行最大手の三菱東京UFJ銀行が「国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)から離脱する方針が明らかになった翌日の9日、5年国債入札における系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の落札額に、市場参加者は度肝を抜かれた。

 市場筋によると、同証券の落札額は1兆2000億円と、発行予定額(2兆4000億円)の約半分。国債入札において、入札参加者の応札は発行予定額の2分の1に制限されており、三菱UFJMSは単純計算で応札限度額いっぱいの規模を落札した計算だ。

 落札利回りは、最高がマイナス0.230%、平均がマイナス0.232%と5年債入札として過去最低を記録した。マイナス金利を積極的に買い進む国内投資家は少ないとみられていたが、「今後、一段と金利が低下するという確信がないと、1.2兆円の金額を落札することは難しい」と、外資系証券の債券関係者は驚きを隠せない。

 三菱東京UFJ銀のPD離脱方針が明らかになった8日は、マーケットで日銀のマイナス金利「封印」観測が台頭した。他のメガバンクもPDを辞退するようになれば、国債市場が混乱するリスクが高まる。それを日銀が回避するために、マイナス金利の「深掘り」を当面回避するとの見方だ。

 ただ、9日の5年債入札後の動向を見て、今度はマイナス金利の深掘りを含めた日銀追加緩和の思惑が、一転して高まっていった。

ブレグジットのヘッジも

 10日の円債市場は、朝方に中期ゾーンにまとまった買いが入ったのをきっかけに、金利低下に拍車がかかった。買いの主体は銀行勢や海外勢とみられているが、その矛先は長期・超長期に波及。10年債利回りは一時前日比2.5bp低いマイナス0.155%、20年債利回りは同2.5bp低い0.190%と過去最低を更新。5年債利回りも同1.5bp低いマイナス0.265%と過去最低に並んだ。

 9日午後からささやかれていた追加緩和の思惑が、6月15─16日の金融政策決定会合で日銀が追加利下げに踏み切るとの観測に「前のめり」した。日銀はこれまでサプライズ緩和を繰り返しており、マイナス金利政策を深堀りするリスクを否定できないとして「一部参加者が、それをヘッジするオペレーションをしているようだ」(外資系証券)との見方が広がった。

 ある国内金融機関の債券関係者は「マイナス金利が拡大すれば、10年債でマイナス0.25%程度、20年債でゼロ%程度が利回り低下のメド」と話す。

 米連邦準備理事会(FRB)の6月利上げの可能性がほぼ消滅。中国発の信用不安悪化に対する警戒感が強まっているほか、「英国がEUを離脱すれば金融市場の混乱が避けられず、先進国の国債に逃避資金が流入することが予想され、そのヘッジとして買われている面もある」(邦銀)という。

 みずほ証券・シニア債券ストラテジスト、丹治倫敦氏は「日銀会合に向けて、金融政策の思惑が浮上しやすい。国債買い入れが限界に近づいているため、追加手段としてマイナス金利の拡大は有力な選択肢になってくるのではないか」とみている。

(星裕康 編集:田巻一彦)

 

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