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金融市場異論百出

円高阻止のマスコミ大合唱
批判恐れた日銀の「努力姿勢」

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年9月8日
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 円高阻止のための追加緩和策を求めるマスコミの大合唱のなか、日銀は8月30日に臨時金融政策決定会合を開き、新たに新型オペ(0.1%の固定金利による期間6ヵ月の資金供給)を10兆円実施することを決定した。

 筆者が現在ヨーロッパに滞在しているせいもあるかもしれないが、円高になると日本では議論が冷静さを失う傾向があるように感じられる。昨年11月にドバイの債務問題が表面化したときも、日本のマスコミの報道量は他の主要国より群を抜いて多かった。

 日本の輸出企業にとって今回の円高が厳しいのは事実だが、かといって報道が危機感をあおり過ぎると、そのこと自体が消費者や企業経営者のマインドを悪化させる恐れがある。企業の円高耐性力は1990年代半ばの円高時に比べれば改善しており、円高を喜んでいる企業や家計もいるはずである。報道の3分の1程度は円高のメリットを生かしたポジティブな事例を取り上げてもよいと思われる。

 また、現行の日銀法は、80年代のプラザ合意以降の円高下で金融政策が為替政策に従属し、それが大きな歪みをもたらしたことを反省したうえでつくられた。現行法下では、為替政策は金融政策から事実上分離されているので、円高対応を日銀に求める場合は、その点にも留意が必要だろう。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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