ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

「EU離脱」最大の焦点、英通商政策はどうなるか

ロイター
2016年6月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
英国がEUを離脱した場合の影響として、同国の貿易上の地位がどう変化するかが最大の焦点のひとつになっている。写真は、車に貼られた離脱を支持するステッカー。英ウェールズで2月撮影(2016年 ロイター/Phil Noble)

[ロンドン 13日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)を離脱した場合の影響として、同国の貿易上の地位がどう変化するかが最大の焦点のひとつになっている。

 残留支持派は、離脱すれば英国は5億人を超えるEU市場への自由なアクセスを失い、EUとの新たな交渉でも不利な立場に置かれると警告している。英国の対外輸出においてEU向けは44%を占める一方、EUからの輸出のうち英国向けは8%にとどまるからだ。

 これに対して離脱派は、輸出市場としての重要性に鑑み、EUは英国と協定を結ぶはずだと主張。EUに縛られなくなれば、英国は米国や中国との通商協定にも今より迅速に漕ぎつけられるようになるとしている。

 EUを離脱した場合、英国が取り得る通商政策の選択肢をまとめた。

●カナダ方式

 離脱派の多くがお手本とするのが、カナダとEUが最近結んだ通商協定だ。

 この方式では、英国はEU諸国からの労働者受け入れとEU予算への拠出義務を負わなくてすむ。これらは英有権者に最も不人気なEUの義務だ。

 しかしカナダの合意は交渉までに10年を要した上、サービス市場については部分的な開放しか盛り込まれていない。サービス産業は英国経済の8割近くを占める。銀行は今のようなEUへのアクセスを失う。

●ノルウェー方式

 ノルウェーは欧州経済領域(EEA)の一員として、EU単一市場へのアクセス権を確保している。この方式だと、英銀はEU域内で今まで通りの事業を続行できる。

 しかしノルウェーはEU市民の自由な移動とEU予算への拠出を受け入れている。国民1人当たりの拠出額は現在の英国並みだ。

 ノルウェーはまた、EU単一市場の規則を順守する必要があるが、規則策定に口出しはできない。

●スイス方式

 スイスはEUに手数料を支払うのと引き換えに、単一市場への一部アクセス権を得る合意を結んでいる。しかし国境を越えて金融サービスを提供する権利はないため、大手スイス銀はEU諸国に子会社を設立せざるを得ず、コストがかさんでいる。

●英国独自の合意

 離脱派は、EU諸国にとって英国は大切な輸出市場なので協定を結ぶはずだと訴えるが、合意と引き換えに人の自由な移動や予算拠出を迫られる可能性がある。

 ドイツのショイブレ財務相は10日、英国がEUを離脱した場合、ノルウェーやスイスのようにEU単一市場の恩恵に預かることはできない、と警鐘を鳴らした。

●WTO頼み

 英国がEUと合意を結べなかった場合、世界貿易機関(WTO)のルールに基づいてEUとの関係を構築する可能性がある。

 離脱派は、先進国間の財の貿易では、輸入関税が概ね極めて低い水準まで引き下げられている、と主張している。

 しかしEUは一部の財に他より高い関税を課しており、英国で約80万人の雇用を抱える自動車の約10%がその一例だ。

 その上WTOでは、サービス貿易の開放がまだ大きく進展していない。英国のサービス輸出は非関税障壁に直面しそうだ。

●世界各国との交渉

 英国は世界各国と、EUとしてではなく単独で交渉することになる。その中にはEUが貿易協定を結んでいる50を超える国々も含まれる。

 離脱派は、EUが貿易協定を結んでいない米国や中国などの巨大市場に専念すべきだ、と表明している。しかしオバマ米大統領は4月、英国がEUを離脱すれば、米国との通商交渉で「行列の最後尾」につくことになる、と釘を刺している。また、米国とEUは包括的な貿易・投資協定の締結に向けて交渉を進めている。

 

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


ロイター発 World&Business

ロイター提供、日本と世界の最新ニュースをお届けします。

「ロイター発 World&Business」

⇒バックナンバー一覧