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中国の「シリコンバレー」脅かす住宅価格高騰

ロイター
2016年6月15日
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中国のシリコンバレーとも称される深セン市では、住宅価格が国内で最も高い水準に高騰し、若い人材が市内からの引っ越しを考えるほどになっている。同市で昨年8月撮影(2016年 ロイター/Bobby Yip)

[深セン 13日 ロイター] - 中国のシリコンバレーとも称される深セン市では、住宅価格が国内で最も高い水準に高騰し、若い人材が市内からの引っ越しを考えるほどになっている。企業は深センの競争力失墜に懸念を深めており、ハイテクブームは失速のリスクに直面している。

 過去40年の間に深センは漁村から製造業の中心地へ、そして現在はハイテク企業の拠点へと変貌し、テクノロジーや広告、デザインなどの有力企業や若く有能な人材を引き付けている。

 だが深センの不動産価格は過去10年間で580%急騰し、市の競争力を奪おうとしている。

 深センにはインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、ドローン(小型無人機)メーカーのDJIホールディングス  、遺伝子組み換えを手掛けるBGIなどの有力企業が拠点を置いている。

 仮にこれらの企業や新興企業にとって高い住居費のために人材の確保が難しくなれば、事業の拠点として深センが適切な場所なのかどうか疑問を抱き始めるだろう。

 電子商取引大手、京東商城(JDドット・コム)のマーケティング担当者Chen Zhitao氏(25歳)は「私と同世代の人々にとって、深センの高い不動産価格は重圧だ」と指摘。「友人の間では(深センから)引っ越すべきか、引っ越すならどの市がよいか、という会話がどんどん増えている」と語った。

 同氏は賃貸料を抑えるため、小さなアパートを他の2人とシェアしており、1人はソファで寝なければならないという。

中国一高くつく都市

 深センでは商業用不動産価格は安定的に推移する一方、住居用不動産は住宅建設に使える土地が減少しているため価格が高騰している。統計によると、4月の価格は前年同月比で約63%上昇し、伸び率は国内で最高となった。

 中国不動産指数システム(CREIS)の調査によると、5月の深センの住居用不動産価格は平均で北京に比べ40%、上海に比べ約30%高い水準だった。

 深セン市南山区にある広さ90平方メートルのアパートは、販売価格が約600万元(91万5000ドル)となっている。

 不動産価格の上昇に伴い、住宅ローンの借り入れも急増している。 住宅ローンの残高は昨年、前年比40%増の7420億元となり、新規の住宅ローン借り入れ総額は前年より200%超増えて3400億元になった。

 深センに本社を置く有力企業は、住宅ブームが懸念すべき要因であると認めている。

 テンセントの関係者によると、同社は5月に住宅補助制度を拡充し、家賃補助を年間で最高1万5000元とした。同社はまた、無利息の住宅ローンを最大で50万元(7万6214.86ドル)まで提供している。

 テンセントの従業員であるチェン氏は「会社が人材を確保したいのなら、こうした(住宅補助の)手当を提供しないわけにはいかなくなっている。会社にとって、高い住宅価格は大きな頭痛の種だ」と話した。

 通信機器メーカーの中興通訊(ZTEやファーウェイ、DJIホールディングスなどの企業もロイターの取材で、アパートや寮を保有して従業員に市場価格よりも安い賃料で貸与していると明らかにした。

 ファーウェイの創業者で最高経営責任者(CEO)を務める任正非氏は新華社通信のインタビューで、中国本土における事業展開に不動産価格の上昇が及ぼす影響に懸念を表明。住宅と生産のコストはあまりにも高いと述べた。

(Clare Jim記者、James Pomfret記者)

 

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