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テスラに挑む新興EVメーカー、後ろ盾は中国マネー

ロイター
2016年6月16日
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米カリフォルニア州パロアルトにある米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズの本社から数キロ離れた場所で、中国の投資家の後ろ盾を受けたシリコンバレーの新興企業が、同社に挑む計画を進めている。写真は横須賀市で2009年7月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao) 

[メンローパーク(米カリフォルニア州) 14日 ロイター] - 米カリフォルニア州パロアルトにある米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズの本社から数キロ離れた場所で、中国の投資家の後ろ盾を受けたシリコンバレーの新興企業が、同社に挑む計画を進めている。

 米新興EVメーカーのアティエバは、米国で設計・製造を行い、2018年に高級EVセダン、20─21年に高級クロスオーバー車を発売する計画だ。同社幹部がロイターの単独インタビューで明らかにした。

 同社はテスラに対抗するだけでなく、中国に拠点を置く新興企業3社とも競合する。

 これら3社はいずれも過去1年間にシリコンバレーに技術施設を開設。このうちの1社であるファラデー・フューチャーは米国でEVを製造する計画を明らかにしている。

 アティエバは3社とは異なり、カリフォルニア州でテスラと米オラクルの元幹部が2007年終盤に立ち上げた。最高技術責任者(CTO)のピーター・ローリンソン氏をはじめ、テスラ出身の人材を複数採用している。

「秘伝のソース」のようなもの

 アティエバは18年のEV投入に向け、メルセデス・ベンツの商用車「Vito」を使って、高出力電気モーター、リチウムイオンバッテリーパック、インバーター、制御器といった動力伝達装置ドライブトレインの試験を実施している。

 テスラ在籍中に主力セダン「モデルS」の設計を主導したローリンソン氏は、アティエバのソフトウエアについて、これらのハードウエアをすべてまとめ、900馬力を実現できる「秘伝のソース」のようなものだと表現した。

 同社は三井物産やシリコンバレーのベンチャー企業ベンロックなどの投資家から数億ドルを調達している。

テスラはライバルの動きを静観

 現在テスラがほぼ独占している高級EV市場では、アティエバ以外にも多くのメーカーがモデルの投入を目指している。

 独自動車大手ダイムラーの高級車ブランド、メルセデスは今週、20年までに発売を目指す長距離EVを10月に披露すると発表。独フォルクスワーゲン(VW)とBMWも、高級EVの開発に取り組んでいることを明らかにしている。

 テスラはこうしたライバル候補の動きについてコメントしていないが、事態を静観して他社の台頭を許すつもりはない。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先月、株式発行を通じて14億6000万ドルを調達し、17年にセダン「モデル3」の量産を開始する計画を明らかにした。

当初は年2万台の生産計画

 アティエバは、北京汽車集団とインターネット企業「LeEco」の中国企業2社を大株主に持つ。LeEcoは中国人起業家の賈躍亭氏が率いており、同社もEV開発に意欲を表明している。賈氏はファラデー・フューチャーにも出資している。

 また、中国のウェブサイト「ビットオート」の創業者William Li氏が2014年に立ち上げた新興自動車メーカーのネクストEVには、中国のインターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)や、シリコンバレーのベンチャー企業セコイア・キャピタルが出資している。

 アティエバの設計担当副社長、デレク・ジェンキンズ氏は、詳細には言及しなかったが、これら中国のライバルらと距離を置き、「カリフォルニアのDNA」、「カリフォルニアの考え方」を生かす方針を示した。同氏はマツダの新型「MX─5ミアータ(日本名:ロードスター)」の設計チームを率いた人物だ。

 アティエバは現在、米国工場の建設地を探しているが、生産担当責任者ブライアン・バロン氏によると、すでに候補地を2カ所に絞り込んでおり、年内に決定する見通しだ。当初は年2万台を生産する計画で、その後、年13万台まで段階的に拡大していくという。

(Paul Lienert記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)

 

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