何もしなかったらどうなるのか?

 著作家、ブロガー、そして連続起業家のジョナサン・フィールズは、成功よりも失敗の多さで知られているが、フィールズはこれまでを振り返って、「失敗の可能性について自問すべき問い」についていくつかの興味深いアイデアを思いついた。

 フィールズは「絶対に失敗しないとわかっていたら?」という問いはあまり好きではない。「それは夢のようなシナリオを提案することになる。むしろ現実に直面して、実際的な行動を起こす気になるような疑問を次々とぶつけることのほうに関心があります」

 彼は、新たな取り組みを始めるときには、まずは次の問いを通じて失敗の可能性に向き合うべきだと考えている。

「もし失敗したら、どう克服しよう?」

 フィールズによると、私たちは失敗をただ漠然と、誇張されたかたちで考えがちだ。それは、失敗を具体的にイメージしたくないという気持ちがあるからだ。そこで彼は、リスクのある何事かをしようとする人に対して、「もしうまくいかなければ何が起きるのか? そしてその失敗で生じる困難を修復するには何が必要か?」を思い浮かべてから始めることを提案する。

 すると、どんな失敗でも、それまでの努力がすべてダメになることはほとんどないということがはっきりする。ほぼどんな状況においても後戻りする方法はあるものだ。いったんそれを認めれば、自信を持って前進できる。

 心理学者で著作家のジュディス・ベックも、患者との会話でこれと似た質問を使っていると話してくれた。「もし最悪の事態が起きたら、どう対処できるだろう?」というものだ。「人は、『最悪の恐怖でも乗り越えられる』『乗り越えるための手段や方法がある』ということに気づくと不安感が低下します」

 私たちが自問すべきだとフィールズが考えるもう一つの重要な問いは、「何もしなかったらどうなるだろう?」だ。

 重要な変革に取りかかろうとするときは、自分自身が変わらなければならない場合であることが多い。自ら動かなければ、何もしないままただ不幸になってしまう可能性が高い。この問いは、そのことを強調している。何もしないと、すでに抱えている問題や不安が悪化するかもしれない。

「脇道などないのです」とフィールズは言う。「人生においては、前に進んでいないときには、たいてい後退しているからです」

 最後に、フィールズは「成功したら、どうなるだろう?」と自問することを勧める。

「私たちの脳は、何の働きかけもないと悲観的なシナリオを描くように設計されているので、この問いは重要です」とフィールズは言う。「何かポジティブなことや、行動につながる原動力を心に注入するには、この努力の先にどんな成功が待っているのかをある程度明確にすることが役に立ちます」

 つまり、失敗のリスクを冒しても行動したくなるような強いインセンティブを自分に与えるのだ。

 ブロガーのクリス・ギレボー(『1万円起業』著者)は、ロバート・シュラーの言葉をひとひねりした問いを提案している。

「『絶対に失敗しないとわかっていたら、何に挑戦するだろう?』よりも良い質問は、おそらく、『失敗するにせよ成功するにせよ、本当にする価値のあることは何だろう?』というものだ」

(本連載は、書籍『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』より引用しています)