国連コンピテンシーに沿った実践教育を展開

 では、具体的な教育内容はどのようなものだろう。

 「カリキュラムは国連の人材採用基準(国連コンピテンシー)に沿って作成しました。国際情勢や国際組織の現状といった基礎知識から、多国間交渉の実際、ジェンダーや宗教のダイバーシティの在り方など、多文化環境で活動するためのテーマを網羅した内容です。途上国に出向いて国際機関の実務を経験するインターンシップも必修となっており、まさに実践と理論の融合の場といえます」

 そう話すのは、村田俊一教授だ。客員教授陣には、元国連事務次長の明石康氏、前ユニセフカザフスタン事務所代表の久木田純氏といった、国連や外交の一線で活躍した実務家を招聘、そうそうたる顔ぶれがそろう。授業は全て英語、しかも演習形式というタフなものだが、海外に留学せずしてこの環境に身を置けるのは、大きな魅力だ。 

 また、経済学や法学といった「主専攻」と並行して学ぶ「副専攻」であることもこのコースの大きな特色だ。同コースを履修するためには、関西学院大学大学院の11の研究科のいずれかに合格し、なおかつ国連・外交コース履修審査にパスする必要があるが、合格すれば大学院の学費のみで受講でき、別途副専攻コースの受講料は不要だ。

 卒業後のキャリアサポートの充実ぶりも見逃せない。国連などの国際機関へ人材を斡旋する外務省の「国際機関人事センター」と類似した機能を持つ「関学国際機関人事センター」が学内に設置されており、ここを拠点に、卒業生の就職やキャリア形成を長期的かつきめ細かく支援する体制が整っている。

 「本学のスクールモットー『奉仕のための練達』は、国連や外交といった、国際公益のために働く仕事の本質を言い表しています。この精神の下で実践してきた教育の蓄積がここに結実したのです」と胸を張る村田教授。

 また、神余副学長も「真の国際人は、高い専門性と俯ふ瞰かんの視点を兼ね備えていなければなりません。本学の大学院なら、そのための教養、知識、実践力を全て学ぶことができます。ここで大いに学んでステップアップしてほしいと思っています」と語る。

 第1期生の募集は7月から。定員約15~20人の狭き門だが、その先に、世界につながる大きな未来が広がっている。のための教養、知識、実践力をと思っています」と語る。

 

 

大阪からも神戸からもアクセスが良い兵庫県西宮市に立地。ヴォーリズが設計した美しい時計台は、緑豊かなキャンパスのシンボルだ