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英国民投票日は金融関係者は徹夜覚悟、「ポンド危機」は確実

ロイター
2016年6月17日
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英国がEUから離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される23日には、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。写真は英ロンドンの金融街。2014年11月撮影(2016年 ロイター/Toby Melville/File Photo)

[ロンドン 15日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)から離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される6月23日、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。市場はこの日、ポンド危機が起きた「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」以来、25年ぶりの大荒れになるとみられている。

 離脱が決まれば、第二次世界大戦以降の欧州統合の動きが頓挫、2兆9000億ドル規模の英経済の先行きに疑問符がつくことになろう。

 投票締め切りは2100GMT(日本時間24日午前6時)。関係筋によると、シティ、ドイツ銀行、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、HSBC、バークレイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、ロイズ>などでは、投票締め切り後の開票状況を見守るため、ベテランのスタッフやトレーダーらに深夜勤務を要請しているという。

 国民投票の結果、離脱支持が大勢になれば、外国為替・株式・債券市場が大混乱に陥るほか、コンピューターシステムや株式取引所、清算機関など、西側市場のインフラの耐性が試されることになるだろう。

 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、ブレグジット(英国のEU離脱)が決まった場合には金融市場が大きく動揺し、FRBの次の利上げのタイミングがずれる可能性がある、との認識を示している。

 カーニー英中銀総裁は、ポンドは「おそらく急激に」下落する可能性があると警告。大手銀行は、離脱が決まれば数日でポンドはユーロと等価になり、対ドルでは1.20ドルまで下落する、と予想している。

 イングランド銀行(英中央銀行)でも23日、スタッフが徹夜で勤務。市場の暴落に備え、上級の政策当局者にも自宅待機を求めている。

運命の一夜

 ポンドはこの数週間、世論調査の結果に反応して急変動している。

 国民投票の結果次第では、ロンドンの金融市場は23日夜と24日早朝には、史上類を見ないほどの大荒れを経験することになるだろう。

 投資銀行インベステックでマネーマーケットチームを率いるクリス・ハドルストン氏は「われわれは、米国の選挙、英国の総選挙、スコットランド独立の是非を問う住民投票、リーマン破綻、QE(量的緩和)を乗り越えてきたが、今回の国民投票は、英国がこれまでに経験してきたなかで、最大のリスクイベントとなるだろう」と指摘している。

 ロンドン市場は、世界の外為取引高のうちの41%を占めており、米市場の倍以上。フランスやスイスの3%を大きく引き離している。

 金融街カナリー・ワーフにある大手銀行関係者は「トレーダーは当日は勢揃いするだろう。誰も歴史的瞬間を見逃したくはない」と話す。

 一部の銀行は23日深夜から24日にかけて、ケータリングを用意したり、近隣のホテルに予約を入れたりと、準備に余念がないようだ。

 英マスコミ各社は出口調査は計画していない。そのため、最初に出てくる数字は、382選挙区それぞれの投票数だ。その後、各選挙区における「残留支持票」「離脱支持票」の数が発表されることになる。

「ブラック・ウェンズデー」再来か

 世論調査の結果は、時に「離脱派」が優勢になったり「残留派」が優勢になったりと一定しないため、市場は結果を推測するほかはない。

 ポンドは現在、対ドルで1.41ドル前後。一部銀行は、残留なら1.50ドル前後、離脱なら1.30ドルかそれ以下と予想している。

 どちらに転んでも、ポンド相場が急激に変動することは避けられないとみられ、1992年9月16日の「ブラック・ウェンズデー」以来の大荒れとなる可能性がある。この日はポンド相場が急落し、英国はERM(欧州為替相場メカニズム)から事実上、離脱を余儀なくされた。

 1992年のポンド危機を経験しているナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のニック・パーソンズ氏は「ブレグジットなら、少なくともブラック・ウェンズデー級の騒動になる」と話している。

 カーニー英中銀総裁は、為替の調整を阻むことはしないとしているが、秩序維持のため必要な措置はとるとの姿勢も示している。市場に介入するのか、その場合どのように介入するのかは明らかにしていない。

(William James記者、Freya Berry記者、Patrick Graham記者 翻訳:吉川彩 編集:佐々木美和)

 

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