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米銃乱射事件、生存者が語る惨劇の一部始終

ロイター
2016年6月20日
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米国の現代史上最悪となったフロリダ州オーランドの銃乱射事件では49人が犠牲となり、実行犯も射殺された。生存者が同性愛者のナイトクラブで起こった恐るべき惨劇の一部始終を語った。写真は12日、サンディエゴで、乱射事件の犠牲者を追悼する人々(2016年 ロイター/Mike Blake)

[オーランド(フロリダ州) 15日 ロイター] - ペイシャンス・カーターさんは、もう何時間もトイレの個室の床に横たわっていた。右の太股に銃弾を受けていたが、友人や見知らぬ人が彼女の上にのしかかっており、身動きが取れない。

 米フロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射から、彼らは皆必死になって逃れ、同じ袋小路に追い込まれていた。20歳のカーターさんには、歩き回るオマル・マティーン容疑者の足が見えた。人質解放の交渉担当者に対して、同容疑者が、米国が行ったアフガニスタン空爆への非難や、イスラム主義武装グループへの忠誠を叫ぶのも聞こえていた。

 そして、警察が外で叫んでいる声が聞こえた。「壁から離れろ。壁から離れろ」。マティーン容疑者の足がトイレの個室に向かって下がってくる。

 「トイレの床に伏せていた誰かに『おい、お前!』と呼び掛け、1人、また1人と撃っていった」とカーターさんは、「バン、バン、バン」という銃声を口まねしつつ、その時の記憶を語った。

 日曜日の夜明け近く、マティーン容疑者が同性愛者に人気のダンススポットに残忍な襲撃を仕掛けてから、すでに3時間が経過していた。

 まもなくして、警察が壁を破壊して突入した。

 「警察は容疑者に『武器を捨てろ、武器を捨てろ』と叫んだ。従わなかったので、警察は銃撃を始めた。命中し、彼は射殺された」とカーターさんは言う。

 米国の現代史上最悪となった乱射事件から数日が経過し、49人が犠牲となり、実行犯も射殺されるという、恐るべき惨劇を語る生存者の談話が伝えられはじめている。彼らの話からは、恐怖と絶望の状況、時に手際のよい殺りく、さらには困難で長い時間を要した救出劇の様子が明らかになっている。

 マティーン容疑者が射殺されてしばらくは、壊された壁の破れた水道管から水が噴出し、遺体と負傷者が折り重なるトイレの床に、血の混じった水が溢れた。

 カーターさんは友人たちを呼んだ。フィラデルフィアから3人でやってきた彼女らは、フロリダ休暇の最初の夜に、笑顔でダンスに興じていた。インターネットで楽しめそうなダンススポットを探して選んだ店だった。

 彼女の仲間の1人、やはり20歳のティアラ・パーカーさんが彼女の呼び掛けに応えた。脇腹を撃たれたという。もう1人、いつも場を盛り上げていた18歳のアキラ・マレーさんはパーカーさんの膝に崩れ落ち、何も言わず動かなかった。

 彼女たちと一緒に個室に逃げ込んでいた男性がマレーさんの脈を取り、まだ呼吸していると言った。まもなく、特殊部隊SWATの隊員がカーターさんを個室から引っ張り出し、腕をつかんで安全な場所に連れて行った。血まみれの床を引きずられていくとき、彼女はマレーさんの携帯電話を目にし、拾い上げた。

 「まだ息をしている、脈は残っていると聞いたので、いずれ携帯を彼女に返せるだろうと本当に信じていた」とカーターさんは言う。

 救急車のなかで救急隊員は血に染まったカーターさんの衣類を切り裂いた。右脚を傷つけた弾丸は左脚も貫通している、と彼らは言った。

 その後、カーターさんはマレーさんが助からなかったことを知る。何十人もの負傷者とともに病院のベッドに横たわるカーターさんが書いた詩は「生き残ったことの罪悪感は重い」という言葉で結ばれている。

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