欧州への脅威

 離脱支持派は、EUから離脱すれば英国は繁栄すると訴える。次期首相候補と目されるボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、EUが超大国の形成を模索しているとして、ヒトラーやナポレオンに擬えた。

 同氏は先月、英紙サンデー・テレグラフとのインタビューで「ナポレオン、ヒトラーなど多くの人がこの方法を試み、悲劇に終わっている。EUは別の手段による試みだが、欧州という概念に対する潜在的な忠誠心がないことが永遠の課題となっている」と述べた。

 一方、ドイツのシュタインマイヤー外相は今月、「離脱が決まれば、EUを揺るがすだろう。加盟28カ国から1カ国が抜けるだけで済まない」と指摘。

「EUの結束を確保し、数十年にわたって成功してきた統合努力が分裂に終わらないよう、協調した取り組みが必要になる」と訴えた。

 今回の国民投票がEUの分裂につながらなかったとしても、EUと英国の間で複雑な交渉が何年も続く事態となり、長期的な景気先行き不透明感につながる可能性がある。

 また、残留支持派の英元首相トニー・ブレア氏とジョン・メージャー氏は、離脱すれば、北アイルランドの安定が脅かされ、スコットランドの独立を求める声が高まり、英連合王国の分裂につながる恐れがあると警告している。

ブレグジット後

 国民投票が発表されて以降、企業や同盟国は離脱リスクに警戒してきた。

 米国は、英国が離脱すれば、欧州の同盟国としてドイツを最優先する方針を明確にしている。

 しかし、離脱派はこうした海外首脳らやグローバル企業からのブレグジットに対する警告が、2008年の金融危機以降に強さを増した反エスタブリッシュメントの風潮をかえってあおったと分析する。

 離脱支持団体「ボート・リーブ」の代表、マシュー・エリオット氏は「(米大統領選で共和党の候補指名を確実にしたドナルド)トランプ氏の影響ではなく、もっと広範囲にわたる反主流派感情が世界に広がっている」と指摘。

「われわれはこの波に乗っている。この感情が、実際にわれわれを勝利に導くと考えている」と語った。

 (Guy Faulconbridge記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)