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英のEU離脱、邦銀は流動性リスク意識、中期的に「脱シティ」も

ロイター
2016年6月25日
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EUからの離脱を選択した英国民投票の結果について、日本の金融機関や各企業にはあらためて懸念の声が広がっている。写真は都内で号外を手にする歩行者(2016年 ロイター/Issei Kato)

[東京 24日 ロイター] - 英国のEU(欧州連合)離脱が決まったことで、三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手邦銀グループは当面、外貨流動性リスクやデリバティブ取引のカウンター・パーティーリスクの管理を慎重に進める。英国民投票に備えて対応は事前に進めてきたものの、欧米銀やシャドーバンキング発などのリスク発生に神経をとがらせている。

流動性リスクには対応、一部に懸念も

 「手当はしてきたが、想定外のことが現実化するリスクもある」――。ある大手銀の市場部門の担当者は、金融システムに発生するかもしれないリスクを警戒する。

 英国民投票を前に、大手邦銀はドルや英ポンドを厚めに調達しており「直ちに大きな影響を受けるとは考えていない」(三井住友銀行広報部)という。

 2008年のリーマン危機を教訓に、各国中央銀行が外貨流動性を融通するセーフティ・ネットを整備し、足元で外貨流動性が干上がる可能性は限定的だとみられている。

 ただ、懸念が残るのは「仕組みとオペレーションのギャップ」(大手銀グループ幹部)だ。

 セーフティネットの仕組みは整っているものの、不測の事態が生じた場合に、即応できるかどうかは別だからだ。「火事が実際に起こった際に、イングランド銀行や欧州中銀が消し止められるのか」(同)というわけだ。

 欧米銀のドル取引の「中心地」のひとつであるロンドン市場で、金融システムに負荷がかかった場合、世界中に伝播するリスクが高まる。

 リーマン危機の際には、ロンドン市場を起点に一部ヘッジファンドから資金が流出し、米投資銀行に影響が波及した経緯もある。

 ヘッジファンドや資産運用会社などのノンバンクは、シャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれ、リーマン危機以降、アセットを急拡大してきた。「資金繰りに問題が生じると、リーマン危機時よりも大きなインパクトが生じるかもしれない」(大手銀役員)という声も漏れる。

英銀の格下げ、カウンターパーティリスク増へ

 もうひとつの懸念が、デリバティブ取引のカウンターパーティ・リスクだ。離脱により、英国債格下げは不可避。英銀の格下げも引き起こす。金融庁幹部は「英銀のカウンターパーティーリスクへの対応も金融機関との対話の中で確認しているが、どこの銀行も真剣に考えている」という。

 大手銀グループ幹部は「新たに契約を更新する際には、見直す必要が出てくる。さもなければ、リスクアセットが増えて必要自己資本が増えてしまう」と、今後の対応を示す。

中期的には、「脱シティ」の動きも

 邦銀に限らず、ロンドン・シティに進出する金融機関は、脱シティの動きを強めるとの見方は根強い。各金融機関は、EUパスポート制度に則り、シティに進出していればEU全域でビジネス展開ができていたが、今後の英国とEUとの交渉次第では、それができなくなる恐れがあるからだ。

 「EU全域でのビジネスを考えれば、シティから(ベルギーの)ブリュッセルなどに機能を移転していかなければならないかもしれない」と、大手行幹部は話す。

 ただ、邦銀全体でみれば、欧州に対する収益依存度は北米やアジアに比べると高くはない。英国の離脱を機に欧州景気が悪化するようなことになると、欧米銀に対する邦銀の優位性が高くなるとの指摘も出ている。

(布施太郎 取材協力:和田崇彦 編集:田巻一彦)

 

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