先日、ロンドンから日帰りでリバプールに行ってみた。この街は欧州有数の港湾都市であり、歴史的建造物が多い。2008年には「欧州文化首都」に選出された。港やその近くの商業施設は驚くほど綺麗に再開発されている。

 リバプールはビートルズの故郷でもあるため、それ目当ての観光客もかなり多い。4人のメンバーの生家や育った家をバスで巡るツアーの人気が高い。地味な住宅街の路地に大勢の観光客がぞろぞろと入っていく姿は奇妙ではある。リンゴ・スターの生家は来年取り壊す予定になっており、論争が起きている。ビートルズマニアは、「シェークスピアの生家を壊すようなもの」と批判しているが、工事予定は覆らない様子だ。

 このリバプールは、キャメロン政権が進める大胆な財政再建との関係で今注目を集めている。現政権は、労働党政権時代に決定されたプロジェクトを次々と廃案にしている。たとえば全国で700の校舎建設が中止となった。行政サービス、補助金、助成金も大規模に削減される。直接的な痛み、不利益を被る国民は多く、補助金の恩恵を受けてきたリバプールのような地方都市からは悲鳴が上がる。