マスコミの報道姿勢は適切だったか?

もう1つ、今回の問題に関するマスコミの報道姿勢について検討してみましょう。特に5月後半以降は、情報番組などはこの話題で持ちきりだったわけですが、それは適切な姿勢と言えたでしょうか?

物事に使う時間やそのバランスの適切さを評価する分析に、緊急度/重要度マトリクスがあります(時間配分の適切さを議論する際には、時間配分マトリクスと呼ぶ場合もあります)。

言うまでもなく、本来、人々が時間やエネルギーをかけるべきは重要度の高い部分です。ところが人は、往々にして緊急度は高いものの重要ではないこと(図2の左上のマス目)や、重要でも緊急でもないこと(図2の左下のマス目)に時間を使ってしまうのです。

今回の問題は、確かにテレビ局の立場からすれば視聴率が取れる話題であり、その意味では、テレビ局にとっては大事な問題だったと言えなくもありません。しかし、マスコミの存在意義は、視聴率や利益を稼ぐことだけではないはずです。国民が知るべき情報を適切に提示していたかといえば、必ずしもそうではないのではないでしょうか。

図3はあくまで私の主観をイメージかしたものであり、実際にはもっと精査が必要でしょう。しかし、本来国民がもっと知り、議論すべきテーマに比べ、重要度のそれほど高くない舛添氏の問題に時間を使いすぎたきらいは否めません。改めてマスコミには自省を促したいと思います。

今回ご紹介した2つの分析は、意味合いも明確ですし、使い勝手も良く、明日からでも誰もが使えるツールです。是非状況に合わせて使いこなしてください。

これらの分析ツールにつきましては、6月に上梓した『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス分析ツール50』において、分析例も交えて解説しています。この他にも48個、計50個のビジネスに役立つ分析ツールを紹介していますので、是非ご参考にしていただければ幸いです。

次回は、よりビジネス寄りの分析ツールについてご紹介します。