経営×総務

【労働力構造の変化と課題】ミドル層のキャリア開発がポイントとなる背景

2013年4月1日施行の「改正高年齢者雇用安定法」により、企業の意思にかかわらず、従業員が希望すれば年金支給開始年齢(上限65歳)まで段階的に雇用を継続することが義務付けられた。これからの時代、どのような点に留意していけばいいのだろうか。

70歳雇用時代の到来

改正高年齢者雇用安定法の施行で、企業にはどんなシニア活用が求められるのか

 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、2030年のわが国の人口は2010年の1億2806万人から約9%減少して、1億1662万人になるとされている。ミドル層・シニア層のキャリア開発支援をより効果的に推進していくための施策を探索する「ミドル・シニアのキャリア開発支援研究会」のメンバーである秋本暢哉さんは、「経済を支える15歳から64歳の生産年齢人口は、2030年には2010年比で17%減少する見通しです。労働力不足、そして深刻な年金財政問題により、将来的に70歳までの継続雇用義務化の可能性は十分あり得ます」という。

 2013年4月に「改正高年齢者雇用安定法」では、65歳未満の定年の定めをしている場合には、65歳までの①定年年齢の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めを廃止する、のいずれかの措置を講ずる必要があると定められている。「急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備」を目的とした措置であることを考えると、近い将来の年金支給開始年齢の引き上げを念頭に置く必要がある。

秋本暢哉
株式会社日本マンパワー 研修事業部 専門部長 マネジメントコンサルタント。
1987 年、株式会社日本マンパワー入社。企業向け人事教育サービスの営業マネジャーを経て、法人向けのキャリア開発研修のプログラム開発および講師養成の責任者を務める。現在はミドル・シニア世代のキャリア開発支援を中心に、企業のキャリア開発支援施策のコンサルティングやキャリア開発研修のファシリテーションを行っている

 都内の常用従業者規模30人以上の3000事業所を対象に東京都産業労働局が実施した「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」(2013年3月公表)では、高年齢者雇用確保措置は「継続雇用制度の導入」(86.1%)がもっとも多く、「定年の引き上げ」(9.1%)が続く(図表①)。また、「定年の定めの廃止」(2.4%)を実施しているのは、300人未満の事業所だけという結果となった。

 一方、「『70歳まで働ける企業』の取組みの進展・拡大を目指して(2011年提言)」を発表した、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、「70歳以上の人がいきいき働いている企業」事例を収集し、その中から約100の事例を「70歳いきいき企業100選」として取りまとめている。社会的課題を主因として、さまざまな方面から70歳雇用時代へのカウントダウンが始まっているといえるだろう。

生涯戦力化の仕組みへの
転換の必要性

 「能力の陳腐化は、20歳代から始まっています。そのまま手立てを講じないと、能力の陳腐化は加齢とともに30歳代、40歳代と進行し、50歳代で『定年前OB』、60歳代では『定年後腰掛け仕事』となってしまいます」と、秋本さんは警鐘を鳴らす。

 「高年齢者の継続雇用に関する実態調査(事業所調査)」の中で、高年齢者雇用の課題にいて聞いたところ、「能力や体力に個人差が大きく、会社にとって雇用に伴うリスクが高い」(48.2%)、「若年者の採用を抑制せざるを得ない」(36.4%)、「継続雇用後の処遇の決定が難しい」(30.8%)という回答となった(図表②)。

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