バーゼルワールド

世界最大の時計宝飾展示会バーゼルワールド。スイスの時計ブランドだけでも217社が出展し、3月17日から24日の会期中に世界中から約15万人が訪れ、連日活況を呈していた。今年は、高品質で近づきやすい価格のコストパフォーマンス・モデルが豊富だ。日常のビジネスシーンはもとより、オフにも活用できる魅力的な新作がそろう。

二つの複雑機構の競演を
際立たせるブルー文字盤

PATEK PHILIPPE パテック フィリップ

 バーゼル会場を沸かせた、圧倒的な存在感の新作が「5930」。“ワールドタイム・クロノグラフ”は、パテック フィリップ自身が1940年に発表した、内なる伝説の品。受注生産のような形で製作されたその銘品の記憶にインスピレーションを得た上で、自動巻きの新ムーブメントを搭載し、新たな伝説をつくるモデルに仕上がった。時計ファンにとってはパテック フィリップの“ワールドタイム”も“クロノグラフ”も、どちらか一つだけでも熱望される機構。その憧憬を重ねてなお40ミリを超えないサイズに収めた品は、技術とスタイルの融合と達成で魅了する。伝える要素が多いダイヤルをすっきりと整理し、中央部分は幾何学模様のギョーシェで手仕上げ。流行の先端を走るブルー文字盤もそもそもパテック フィリップが得意とする色使いだけに、品よく、色合いも深い。

クロノグラフと中3針
ヴィンテージの再解釈

ZENITH ゼニス

 昨年創業150周年を迎え、老舗の貫禄をあらためて印象付けたゼニス。今年も、定評のある自社製ムーブメントを軸に豊富な新作を発表し、名門ブランドの実力を遺憾なく発揮した。

 ハイビートのクロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」搭載モデルでは、初代の文字盤をベースにしてスポーティな現代感覚を随所に取り入れ、ブレスレットを装備した「エル・プリメロ36'000VpH」が新鮮。さりげなくヴィンテージ感を漂わすゼニスのさじ加減にセンスの良さが光るクロノグラフだ。

 超薄型のクラシカルな「エリート6150」もヴィンテージ感が濃厚。ローズゴールドを採用して高級ドレスウオッチの品格を一段と高めた新作は、シンプルなデザインに100時間以上のパワーリザーブを秘める超高性能モデル。これもゼニスの真骨頂である。

最高のスペックが備わる
新世代「デイトナ」登場

ROLEX ロレックス

 バーゼルワールドの新作の中で、注目度で群を抜くのがロレックスの新しい「コスモグラフ デイトナ」だ。スティールケースの新作は、セラクロム製ベゼルを配した外装から、ロレックス完全自社製の高精度ムーブメントに至るまで、性能や品質の点で比類ないクロノグラフに仕上がった。しかも価格は従来品とほぼ同じだから、価格以上の価値がある。クロノグラフ愛好者なら、ぜひとも手に入れたくなる魅力的な逸品だ。

鮮烈なブラックの美学で
「男の時計」を主張する

BVLGARI ブルガリ

 今やブルガリのメンズウオッチのフラッグシップを演じるまでになった「オクト」コレクション。その新作は、フォーマルやスポーティな表情をつくり出すブラックに焦点を当て、腕時計を漆黒の意匠で包み込んだ。110面で構成された幾何学的なケースと8角形に縁取られた文字盤は、ブラックによっていっそう引き締まり、ゴールドの針やインデックスが華やかさをもたらす。なんとも男らしく精悍で、そしてエレガントだ。