経営×総務

日本のCSRは独自の発展の中で欧米の影響を受けつつ、何度か転換期を迎えてきた。そして、2015年には国連持続可能な開発サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択された。グローバルにサプライチェーンが拡大する中で、ステークホルダーは企業から“目に見える”株主や従業員、取引先だけではないことを認識する必要がある。(監修:株式会社ニッセイ基礎研究所 上席研究員 ESG研究室長 川村雅彦さん)

日本のCSRの変遷

グローバルにサプライチェーンが拡大するなか、ステークホルダーは企業から“目に見える”株主や従業員、取引先だけではないことを認識すべきだ

 日本企業にとって、CSRは古くて新しいテーマである。元来、日本企業には“三方よし”や“論語と算盤”といった精神が根付いていたが、1960年代の高度経済成長期、1970年代の列島改造論・石油ショック、1980年代のバブル拡大期、1990年代のバブル崩壊という時代変遷の中で、企業が利益至上主義に傾いていった結果、産業公害や欠陥商品問題など企業の不祥事が相次いだ。

 それゆえ、日本におけるCSRの取り組みは、まず企業不祥事に対応するための、コンプライアンスを重視した施策の実行であったともいえる。

 環境経営、CSR経営、統合報告を研究・専門分野とするニッセイ基礎研究所の川村雅彦さんの著書『CSR経営 パーフェクトガイド』(Nanaブックス)によれば、1990年代までに形成された日本のCSRの“DNA”は、戦後の日本社会・経済の変遷の中で「法令順守(コンプライアンス)」「社会貢献」「環境対応」「“目に見える”ステークホルダー」の4つの流れが合体したものだという(図表①)。

 中でも、4つ目の「“目に見える”ステークホルダー」に着目したい。あくまでも日本国内にいて“目に見える”利害関係者であり、その対象は、顧客、取引先、従業員、株主、地域社会であった。そのことは取りも直さず、海外サプライチェーンにおける新興国・途上国の労働現場での人権問題や貧困問題などは、ステークホルダーの範疇として認識されていなかったということでもある。

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