昔の日本にあったようなムラをもう一度作る

――ほかにはどんなことができそうですか。

 講演会も定期的にやっていきたい。たとえば今はRSウイルスが流行ってきていますけれど、そういう時期にRSウイルスについての説明会を開いたり、あるいは子どもの事故を防ぐいはこうしましょうとか、妊娠中はこんなことに気を付けよう、といった情報も提供する。子育ての初めはわからないことだらけで、たとえば保育園に入れたら、初めの数ヵ月は毎週のように子どもが熱を出したり体調を崩したりするのが当たり前なのですが、「うちの子の免疫機能は大丈夫なのですか」と駆け込んでくるお母さんもたくさんいます。そういうことを考えながら人生設計を考えていけばいいのですが、こんなに子どもが病気になるなんて思わない。そういう情報を発信していけたら、子育て中のお母さんたちも楽になるのではないでしょうか。

――施設の賛同者は。

 KOTOCLOの理事には、経営者や弁護士、タレントの蛯原英里さんなど幅広いジャンルの方々で、趣旨に賛同いただいた方に務めていただいています。賛助会員は、江東区の企業やKOTOCLOのイベントなどに参加してくれた方々が会員になってくださることが大半ですね。

――この3階建ての施設のコンセプトはどんなことから着想を得たのですか。

 いうなれば、昔の日本にあったようなムラをもう一度作る、というイメージです。昔々、日本では子育てはムラでやっていた。「ムラの祭りを引き継いでくれる子どもが生まれた」ということで、赤ちゃんが生まれたらムラ全体で祝うということをやっていましたよね。僕の子どもの頃もそんな文化がまだ残っていたように思いますが、今のように家庭ごとに個別になってしまうと、お母さんと子どもが一対一の関係になってしまう。今までは隣の家に子どもを預けてお母さんは畑に行く、ということもありましたが、それがなくなり、お母さんが殻に閉じこもるようになった。それが、子育てがつらくなっていった一つの要因だと私は思います。

――ムラ社会というのは、母親にとっては開かれた場所だったのですね。

 そうだと思います。今は開放的な空間からより孤立した空間になり、さらにソーシャルメディアのようなインターネットの世界から非常に多くの情報が入ってきて、さらにお母さんがつらい思いをする。これからの子育てって、どう考えたってお母さんにとって苦痛しかないと思うんです。

 それを打破するのが、この3階建てのムラです。働いていても働いていなくても来られる、子どもも預けられるし、子育ての相談もできる。そこに行けばつらいことも共有してもらえる、そんなムラをもう一度作りたいのです。

――孤立している女性が、本当にそこに来るのでしょうか。

 私はそう考えています。なんにせよ、とにかく今のままではいけない。誰かが一歩踏み出さねば、こういうモデルはできない。みんな「実現すればいいね」とは言いますが、実際に良いものなのかどうか実証実験しないと前に進みません。