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EU離脱後の英国、必要なのは「ホテル・カリフォルニア」戦略

ロイター
2016年7月4日
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国民投票で欧州連合(EU)離脱という道を自ら選択した英国にとって、英国とEU双方の経済・政治的なダメージを最小限に抑えるためのベストな選択肢は、「ホテル・カリフォルニア」モデルをとることだ。写真はロンドンで2月撮影(2016年 ロイター/Toby Melville)

[ブリュッセル 3日 ロイター] - 国民投票で欧州連合(EU)離脱という道を自ら選択した英国にとって、英国とEU双方の経済・政治的なダメージを最小限に抑えるためのベストな選択肢は、「ホテル・カリフォルニア」モデルをとることだ。

 1977年のイーグルスのヒット曲は「いつでも好きな時にチェックアウトできるけれど、ここから離れることはできない」と歌っている。

 この有名な曲にあるように、英国はEUから「チェックアウト」する一方、ノルウェーのように欧州経済領域(EEA)に参加することで、実質的にEUに半分とどまる、という道もある。英国は外交や安全保障における政治協調の強化を交渉したり、一部のEUの討議において、投票権はないものの、意見表明することはできるかもしれない。

 ただしこの次善の策は、実現可能性は低い。

 崩壊状態の英政治指導部が、国民投票の民意に沿った形で、EUとの関係における国益を再定義するまでには、何カ月もかかりかねない。

 英国は今後、離脱手続きを定めたEU基本条約(リスボン条約)50条に基づきEUに離脱を通知するが、キャメロン首相がすぐに通知して「チェックアウト」することをためらっているのは、これが理由だ。

 金融・経済界はEU単一市場へのアクセス維持を望む声が圧倒的だが、これは同時に、EUの規制や、労働者の移動の自由を受け入れることを意味している。経済界は与党・保守党の重要な資金源になっていることから、次期首相選びにも一定の影響力を及ぼすことは間違いない。

 一方で、国民投票で離脱派が勝利した背景には、EU諸国からの移民への怒り、国境や立法問題で主権を取り戻したいとの欲求があった。

 つまり、経済界の希望と民意は、逆方向を向いている。

 キャメロン首相は、EUに通知し離脱協議を始めるという毒杯を後任に託した。主な次期首相候補は、通知を急がない構えを示している。

 後継レースに出馬したゴーブ司法相とメイ内相はともに、年内通知を否定。今後の関係をめぐる条件についてまず、非公式に交渉することを望んでいる。ゴーブ司法相は離脱に向けた具体的な日程には触れず、メイ内相はブレグジットには数年かかかるとの見方を示した。

 これに対して、不透明感が長引くことを回避したいEU側は、2019年欧州議会選のキャンペーンが始まる前の決着を望んでいる。

 よってEUは、早急に離脱通知を行うよう英国を急かしており、通知前の事前交渉には応じないと警告している。EUは初の英国抜きの会合で、単一市場へのアクセスを得るにはモノ・資本・労働力・サービスの移動に関する「4つの自由」を尊重する必要があることを確認した。

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