世界文化遺産散策で
歴史情緒に浸る

今春からはマカオ航空が就航、アクセスの便が飛躍的に向上した

 たとえば成田からの直行便を利用し、マカオ航空で金曜日15時30分に出発すると、現地時間19時にはマカオ空港に着く。ここからホテルが集中するコタイ地区までわずか5分。マカオ半島南端の新口岸(サンハウンゴン)地区でも10分ほどだから、どこに泊まっても初日から存分にナイトライフが楽しめる。もちろん、カジノは24時間休みなしだ。

 快適なホテルライフを存分に満喫した翌朝は、マカオ随一の見どころである世界文化遺産散策の旅へ。セナド広場を中心に南北2~3キロの範囲内に歴史的建造物群が点在する、世界文化遺産の密集地帯だ。今回はその最南端に位置する媽閣廟(マーコッミゥ)から歩いてみた。

 思想家・鄭觀應(チェンクンイン)の住まいだった鄭家屋敷や、ポルトガル人が最初に住み着いたというリラウ広場、元マカオ市政庁だった民政総署などをたどってセナド広場まで歩いて2時間ほど。わずか1キロの直線ルート上を移動しただけなのに、すでに数多くの世界文化遺産を見たことになる。

マカオ観光の中心地ともいえるセナド広場

 さらにここからマカオきっての繁華街・大三巴街(ダーイサーンバーガイ)を通って、マカオのシンボルとして知られる聖ポール天主堂跡へ。かつては東洋一美しいと称えられたが、1835年の火災で焼失。今では正面のファサードだけが残る教会跡だ。江戸時代に日本から迫害を逃れて渡って来たキリシタンたちも建設に従事したという、日本とマカオをつなぐ歴史の懸け橋でもあり、その歴史の重みを実感できる。

 さらに北上して、イエズス会が拠点とした聖アントニオ教会や、ポルトガル商人の大邸宅であったカーサ庭園などを巡り歩き、すべての世界文化遺産が丸1日で見学できた。

東西文化融合の証し
マカオ料理に舌鼓

 前述のセナド広場へ戻って西へと歩を進めれば、それまでの欧風情緒とは打って変わった活気溢れる中国らしい街並みへ分け入っていく。十月初五街(サップコッチューンガーイ)や福隆新街(フォツロンサンガーイ)といった下町情緒たっぷりの中国人街が連なっており、生活感に満ちた街並みを散歩していると、中国の人びとのたくましさに感心してしまう。

レストラン・九如坊のスパイシーな蟹カレー

 東西の文化が融合したマカオ料理も忘れるわけにはいかない。新鮮な魚介類をふんだんに使ったポルトガル料理に、アフリカやインドから伝わった香辛料をたっぷり加え、さらに中国ならではの調理方法を駆使して編み出されたもので、交易の街として発展し続けてきたマカオならではの味わいが魅力。スパイスが効いたアフリカンチキンや、蟹カレー、ダックライス、甘辛いひき肉を炒めたミンチなど、マカオでしか味わえない郷土の味覚をぜひ、満喫したい。

 半島での街歩きを堪能したあとは、南に浮かぶタイパ島、コロアン島へも足を延ばそう。豊かな自然が広がる景勝の地で、ポルトガル人たちが、景観のよさにひかれてコロニアルスタイルの邸宅を建てたのが歴史の始まり。ペパーミントグリーンの瀟洒(しょうしゃ)な家屋は今も健在で、タイパ・ハウス・ミュージアムとして公開されている。

 南欧ムード満点の小高い丘から南を眺めると、一転して近代的な超高層ホテルが林立するコタイ地区の広がりが一望できる。