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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第21回】 2016年7月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

「無理難題」を押し付けない社長に、
イノベーションは100%起こせない
Pepper元開発リーダーが明かす「0」から「1」を生み出す仕事力

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社長の「無理難題」――。世のサラリーマンが忌み嫌う言葉からもしれません。しかし、Pepper元開発リーダー・林要さんは、ゼロイチを実現したいならば、魂のこもった「無理難題」をガンガン押し付けてくる社長のいる会社でなければダメだ、と断言します。どういうことか?林さんの著書『ゼロイチ』から抜粋してご紹介します。

 

「無理難題」が思考を活性化する

 「3%のコストダウンは難しいが、3割はすぐできる」

 これは、松下幸之助さんの有名な言葉です。
 かつて松下電器(現パナソニック)が、トヨタにカーラジオを納品していたころのこと。トヨタから、毎年3%のコストダウンを求められていたのですが、あるとき、3割カットを要求されたそうです。

 毎年3%カットするのも難しかったのですから、もちろん、担当部署は「到底無理」と判断。しかし、そう回答しようとしていた矢先に、松下さんが介入。「3%のコストダウンは難しいが、3割はすぐできる」とトップダウンの指示を出したというのです。

 どういうことか?3%カットならば、これまでの延長線上の発想でやり繰りしようとする。しかし、改善を繰り返せば繰り返すほど、改善余地は少なくなってくる。だから、3%カットは年々難しくなるわけです。

 ところが、3割カットとなれば、抜本的に製品そのものを見直さなければ実現不可能。ゼロから考えるのだから、たいへんではあります。しかし、白紙に戻るのだから、工夫の余地が一気に広がるということでもある。だからこそ、3割カットのほうが簡単なのだ……。こういう考えだったそうです。

 はっきり言って、無理難題。現場の人々は、きっと「無茶言うなよ……」と思ったに違いありません。それは、自然な反応だと思います。

 だけど、僕は、これは正しい考え方だと思います。組織が力を発揮するのは、トップダウンが機能したときです。トップからの無理難題によって、現場の発想が強制的に切り替えさせられる。これが、ゼロイチを生み出す大きな原動力になると思うからです。

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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