「普通の大学生」ほど、エントリーしてほしい

熊谷 就職活動を始めたばかりの学生に「これまで普通の学生生活を送り、人に語れるほどの経験やアピールできるネタがありません」などの相談を受けます。それでいうと、御社はインターンに参加するためには、どのような選考プロセスを設けているのですか?

曽山 主には面接やグループワークです。複雑でトリッキーなものは、ほとんどありません。

熊谷 面接でどんな話をする学生に魅力を感じますか?

曽山 あえて話を盛る必要は全然なくて、その人のリアルな経験を聞きたいんです。先日、『就活チャンネル』の生放送で大変興味深い話があったんですが、先輩社員として出演した社員に、「学生時代に何してた?」と訊ねたところ「ずっと寝ていた」と答えたんですよ(笑)。

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熊谷 なかなか勇気ある回答ですね(笑)。

曽山 ところが、よくよく話を聞いていくと、寝るのが本当に好きで、いつの間にか夢を自分の意思で操ることができる「明晰夢(めいせきむ)」という技術を体得してしまったというんです。すごくないですか?

熊谷 つまり、曽山さんがおっしゃりたいのは、「ずっと寝ていました」でも「普通の大学生でした」でもいいので、その人なりのこだわりや経験を素直に話せばいい、ということですか?

曽山 ええ。例えばサークルの主将を務めたという肩書きに魅力を感じるわけではなく、主将としてどんな経験をしたのか、リアルな部分が大事だと思っています。変にへりくだる必要はありませんので、素の自分を存分にアピールしていただければ。

熊谷 学生からすると「就活受けが良い・悪い」などの情報に左右されすぎて、その人なりのこだわりや哲学、個性を消している可能性があるといえそうです。

曽山 リアルが大事ですから、社員たちが就活生にアドバイスを求められたら、「自然体でいこう」とか「丸裸でいいんだ」と、きっとアドバイスすると思います。2017年入社予定の内定者も、自分を偽ったり飾っているうちはことごとく面接に通らず、あるとき目が覚めて、ありのままの自分をみせ始めたら、就職活動が楽しくなったそうです。

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熊谷 そこに気づけるまでが大変ですからね。「我究館生」でも、「正直でいること」「誠実であること」の大切さは強調して伝えています。たくさんの人に会って、志望理由がぼんやりとした憧れから“リアル”になってくると、内定という結果もついてくるようです。

曽山 私が新卒入社した1998年頃は、いまみたいにネット全盛ではなかったので、同級生には、「盛った就職活動」で超人気企業への内定に成功した人間もいましたね。「盛る」というより、まったくやっていないことをアピールして内定を得る強者もいました。「就職」がその人にとってのゴールなら、それはそれでスゴイとは思いましたけど……。

 ただ虚言癖の成功体験を持つと、一生虚言癖になりますよね。「盛れば成功できる」という強烈な成功体験ができますから。でも、どこかでバレる。会社員生活40年間、嘘をつき続けるのは相当つらいでしょうし。

熊谷 企業も学生もお互いにリアルを見せていくことが大事だということですね。