「Brexit後の世界経済は不透明感が強いが、仕事はイージーになった」

英国経済の混乱はどう映る <br />ポピュリズムの世界伝播なるか地元である英紙は、当然ながら1面で英国のEU離脱を報道。その衝撃は世界中の金融市場や実体経済、政界へと波及している Photo:AP/アフロ

 6月23日、英国は欧州連合(EU)からの離脱「Brexit」の是非を問う国民投票を実施。離脱派の勝利は世界の金融市場に衝撃を与えた。その翌週、米ニューヨークの金融街であるウォール街を回ったが、ある著名FED(米連邦準備制度)ウォッチャーは苦笑交じりにそう述べた。

「FRB(米連邦準備制度理事会)が次の利上げをいつ行うかを予想する必要が当面なくなったからね。(ジャネット・)イエレンFRB議長は様子見するしかない」

 FRBの利上げが遅れる(あるいは利下げに転じる?)との見方が市場で増えると、為替レートには円高圧力が加わる。インフレ率2%の目標を掲げる日本銀行としては、輸入品の物価下落につながり、当面苦しい展開が続きそうだ。

 英国民投票後にニューヨークの短期金融市場は不安定化。米国債を担保に資金を融通し合うレポ取引の業者間金利(GCF金利)を見ると、6月前半は0.4%台だったが、24日は0.86%へ急騰。27日も0.76%で高止まりした。

 もともと四半期末である6月末はレポ金利が上昇しやすい。加えて、マネー・マーケット・ファンド(MMF)などの米大手機関投資家がBrexitを見て資金運用を慎重化させたため、市場の資金の巡りが悪くなったのだ。