「納期までの最後の3日間徹夜して終わらせる」を繰り返していないか?

一度も納期に遅れたことがない男の時間術『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』
中島聡著 文響社
286p 1380円(税別)

「この仕事を10日でやってほしい」と依頼された場合、どのように仕事を進めるべきだろう? まだ10日もあるからと、少し余裕をもってゆったりと進めよう、などと思ったりしないだろうか。他にも締め切り目前の仕事を抱えていたりすれば、なおさらだ。締め切りが早い仕事を先に終わらせてから着手しても間に合うだろうと高をくくり、その仕事をしばらく放置することもよくありそうだ。

 しかし当たり前の話だが、何もしなければ10日あった余裕もどんどんなくなっていく。締め切り3日前になり、ようやく着手してみたら、最初に思っていたより手間がかかるために、とうてい締め切りに間に合いそうもないことが判明。今さら締め切りを延ばしてもらうのは心苦しい。結局3日徹夜する覚悟を決め、優先度の低い予定をすべてキャンセルした上で取り組む羽目に、などということもあるだろう。

 ところが、その段階でいくら自分が力を振り絞っても駄目なケースもある。誰か他の人に依頼しないと進められない部分があったり、他部署との調整に時間がかかったりするからだ。最終的にどうにも間に合わなくなり、前日になって「締め切りを延ばしてもらえませんでしょうか」と依頼主に頭を下げることになる。

 このような苦い経験は誰しも一度や二度くらいは心当たりがあるものだ。しかし、本書の著者の中島聡氏は「一度も納期に遅れたことがない」のだそうだ。

 中島氏は、高校時代からパソコン系雑誌『週刊アスキー』にて記事執筆やソフトウェア開発に携わり、大学時代には世界初のパソコン用CADソフト「CANDY」を開発。学生ながら1億円を超えるロイヤリティーを稼ぎ出したこともある“伝説のプログラマー”だ。