インド式と日本式、<br />算数力がつくのは、どっち?久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

 数字は「数の符号」ですが、数自体は抽象的な概念です。

 ゼロは「何もない」を、1は「ひとつ」を、2は「ふたつ」を意味していると考えます。

 つまり、経験したことを一般化しているわけです。

 朝起きて天気がいい日が続くと、「太陽が昇ると明るくなり、暖かくなる」という一般化した考え(=概念)を思いつくことがあるかもしれません。

 また、お母さんが、赤い顔をしているときに叱られたことを数回経験すると、「母親が赤い顔をすると叱られる」という考えができます。これは、一般化された考え、抽象的概念と言い換えているのです。

 これは徐々に知識となって、後部大脳皮質(頭頂葉、側頭葉と後頭)に保存されます。

 多くの数を知っているほうが、多くの概念を理解し、創造的思考もできるようになり、生活を豊かにしてくれます。

 すると、前頭前野がよく働くので賢くなります。暗算ができると、科学的思考ができることになります。

 このように考える心理学者や人類学者が、2010年頃から出てきています。

 そして、そう考えている脳科学者もいます。

 高校生や大人なら、大学入試に出された数学の問題で、解くのに時間がかかった問題は、何度も解くといいのです。

 これを速くできるようになると、数学力(数を使って考える能力)が高まります。

 子どもの場合は、2ケタの加減乗除の計算表をつくって覚えてもよいでしょう。

 算数・数学以外で長期記憶と短期記憶を高める作業は、数学力を高めるのに役立つのでどんどんしたほうが得です。