脱サラでカフェ店主に。しかも店舗は中古住宅を探して自分好みにリノベーション。そんな夢を実現させたケースをご紹介しよう。

FINETIME COFFEE ROASTERSの明るい店内。左手の客席は昔、階段だった部分。右手の厨房は、昔の居間と台所を抜いてオープンな造りとした。ここで1杯ずつ新鮮なコーヒーを抽出して提供する

この家が本当に
カフェになる!?

2015年6月当時、まだ空き家だったときの建物外観。門扉は 日頃は閉ざされ、塀越しにのぞく庭にはうっそうと雑草が生 い茂っていた

 2016年6月下旬、東京西部の住宅街、小田急線経堂駅の南口から駅前の通りを入って徒歩1分の場所に新しいカフェがオープンした。

 オーナーである近藤剛さん(52歳)が、輸入した生豆を自家焙煎せんし、オーダーで1杯ずつ入れるこだわりのカフェ「ファインタイムコーヒーロースターズ」だ。

 明るい日差しが入る店内には、カウンター席が10席と奥にテーブル席が4席。南側は大きな窓があり、そのままテラスに出られる。

 ここは少し前まで荒れ放題の空き家だった。なんと東京オリンピックの年に建てられた築52年。閉じた門扉の上まで伸びた雑草や、汚れて色あせ傷んだ外壁。「本当にここは住めるのか!?」という家を半年かけて大々的にリノベーションして自宅兼カフェにしたのだ。

半年後の11月にようやく着工。庭の下には浄化槽が埋まっ ていたが、撤去するとお金がかかるのでコンクリートでふさぎ、店舗へのアプローチとした

 古家を手に入れて住むに当たっては、リフォームかリノベーションを行うことが多い。修理や簡単な設備交換程度のリフォームに対し、間取り変更や大掛かりな改修で機能向上を図るものをリノベーションと呼び分ける。

 この家の改修に要した期間は約半年。どんなお店ができるのだろうと地元の高い注目を浴び、開店前にもかかわらず問い合わせが何件もあったほどである。