プロスポーツチームを持たない2つの県はどことどこか

 17日に行われたJ1リーグ第2ステージ第4節の浦和―大宮戦は、今季最多となる5万3951人の観客動員を記録した。埼玉スタジアム2002が日本代表戦並みの大観衆で埋まったわけだ。

 浦和はJリーグで最も観客動員力があるクラブだが、対戦カードによっては入場者が3万に満たないこともある。しかし、この試合は5万超。これは「さいたまダービー」と呼ばれるダービーマッチだからだ。

「ダービーマッチ」は
地元同士だからひときわ盛り上がる

 ダービーマッチとは同じ町や地域にあるクラブ同士が対戦する(何かの因縁がある場合もある)試合。同じ地域にあるということは、地元のファンを奪い合う関係でもあり、クラブ関係者や選手は互いに強いライバル意識を持つ。また、サポーターも対抗心に燃え、「この相手だけには負けるな」とばかりに熱い応援をする。ピッチでは選手同士が、スタジアムでは両サポーターが勝利のために火花を散らし、見応えのある試合になることが多い。特別な試合なのだ。

 ダービーマッチという言葉が生まれたのは英国だが、特別な試合として盛り上がるのは世界共通で、各国にはさまざまな「〇〇ダービー」がある。代表的なのはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティのマンチェスターダービー、イタリアのACミランvsインテル・ミラノのミラノダービーだ。

 日本でもJリーグがスタートして23年経ち、クラブが増えたことで多くのダービーマッチが生まれた。しかし今、リーグ戦でそれが行われる機会は少ない。J1では、さいたまダービーと神奈川ダービー(横浜Fマリノスvs川崎vs湘南)、J2では四国ダービー(徳島vs愛媛vs讃岐)くらいのものだ。かつて見られた大阪ダービーはガンバ大阪がJ1、セレッソ大阪がJ2に分かれてしまって行われない。東京ダービーのFC東京と東京ヴェルディ、静岡ダービーの磐田と清水、千葉ダービーの柏と千葉なども同様だ。

 さいたまダービーは今見られる数少ないダービーマッチで、しかも同じ市内のクラブ同士、そして一方の浦和がとくに熱心なサポーターが多いクラブということもあって、5万を超える観客が集まったのだろう。試合は2-2の引分けに終わったが、どちらの選手も勝利のために闘志を燃やし積極的に攻め合うダービーマッチに相応しい好ゲームだった。

日本のプロスポーツを
地域密着型にしたJリーグ

 こうしたダービーマッチの盛り上がりが日本でも見られるようになったのは、Jリーグのクラブが地域密着の運営に力を入れ、熱心に応援するサポーターを育ててきたからだ。その流れは全国に拡がっている。