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トルコのクーデター未遂、対米関係は一段と緊迫化へ

ロイター
2016年7月19日
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トルコで起きた軍の一部勢力によるクーデター未遂を受け、エルドアン大統領が数千人に上る反対勢力を追放し、米国在住のイスラム教指導者ギュレン師の引き渡しを求める中、現時点で米政府ができることは懸念を表明することくらいだ。写真はイスタンブールで撮影(2016年 ロイター/Ammar Awad)

[ワシントン 18日 ロイター] - トルコで起きた軍の一部勢力によるクーデター未遂を受け、エルドアン大統領が数千人に上る反対勢力を追放し、米国在住のイスラム教指導者ギュレン師の引き渡しを求める中、現時点で米政府ができることは懸念を表明することくらいだ。

 米国の過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いで重要な拠点となっているトルコ南部のインジルリク空軍基地では、クーデターの試みを受けて米軍機は一時飛行ができなくなっていた。その後、エルドアン大統領が航空機の発着再開を許可し、同盟国同士であるトルコと米国の対立は回避された。

 米政府にとってISとの戦いでトルコの協力は依然として不可欠だ。しかし米当局者は、クーデター未遂に対するトルコの対応に困惑しており、今後の両国関係はエルドアン大統領のギュレン師追及や弾圧の度合いによって決まるとの見方を示している。

 ある米高官は「クーデターの試みを受け、トルコがどのように調査を進め決定を下していくかが両国関係を左右していく」と述べた。

 エルドアン大統領は、敵対するギュレン師がクーデターの背後にいるとしている。18日にはギュレン師の強制送還を数日以内に正式に求めると発表した。

 一方、ギュレン師はクーデターへの関与を一切否定した。

 一部のオバマ政権当局者は、数千人に上る軍関係者、警察官、判事、検察当局者の拘束は既に行き過ぎだとの見解を示している。匿名の高官は「われわれが(適度と)考えていた範囲を超えている」と述べた。

 ケリー米国務長官は、トルコがクーデターに関与した人物を訴追する権利があるとした上で、過度な対応を控えるよう要請した。

 トルコは2004年に死刑制度を廃止したことで、翌年に欧州連合(EU)加盟交渉を開始したが、エルドアン大統領はクーデター未遂に関連して死刑復活の可能性に言及。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は、トルコが死刑制度を復活させれば交渉は決裂すると述べた。

権力の大幅強化に

 米国や同盟国はトルコの国内情勢に影響力を持つことはできないとの見方もある。過去にトルコ情勢で米ホワイトハウスのシニアアドバイザーを務めたマシュー・ブライザ氏は、「エルドアン大統領が自身の脅威とみなす軍部や司法当局者の排除をやめさせることは、米政府にはできない」と述べた。「大統領は排除を進める。自身の生き残りをかけた問題で、また権力の大幅強化につながる手段だと考えているからだ」とした。

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