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中国軍が経営する病院の高額な未認可治療は「偽りの希望」か

ロイター
2016年7月19日
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中国軍が経営する病院が、21歳の末期がん患者に未認可の免疫治療を施していた問題によって、数百もの軍病院に注目が集まっている。写真は、同患者を治療した武警北京総隊第2医院。北京で5月撮影(2016年 ロイター)

[上海 11日 ロイター] - 学生の魏則西さんにとって、奇跡的とうたわれる治療法には抗しがたい魅力があった。珍しいタイプのがんに罹患(りかん)し、余命いくばくもなかった魏さんに対し、北京の有名病院が成功率80%、副作用なしという治療法を提案してきたのだ。病院に言わせれば、理想的な選択肢だという。

 ただし、問題があった。軍が経営するその病院は高額の治療費で魏さんに免疫療法を提供したものの、その治療法を行う認可を得ていなかったのだ。治療法そのものも、確かに有望ではあるものの、世界各国のがん専門家のあいだでは、まだ治験段階という位置付けにある。

 魏さんは21歳で亡くなった。この事件が引き起こした批判によって、軍が経営する数百もの病院が注目を集めている。

 患者、医師、弁護士に対するロイターの取材によれば、軍が経営する国内各地の医療施設が、中国保健省の承認を受けていない治療法を日常的に提供し、宣伝していることが分かった。

 国内に数百カ所ある軍病院のうち、約25カ所をロイターが調査したところ、ほぼ5分の4が、何らかの免疫療法をウェブサイトで提案していた。これらの病院のなかには、数千名の患者の治療に免疫療法を用いたと述べているところもある。

 中国各地の大手病院で未承認の治療法が簡単に利用できることは、人口14億人を抱え、米国に次ぐ世界第2位の製薬市場である中国の医療制度に、規制上の深刻な盲点があることを裏付けている。

 軍当局は、魏さんが治療を受けた武警北京総隊第2医院での失敗を認めているが、他の施設における実状についてはコメントを拒んでいる。武警第2医院はコメントの要請に応じていない。

 中国保健省は、免疫療法には大きな可能性があるが、安全性と効果について依然として疑問があるとしている。同省はロイターに対する回答のなかで、免疫療法については、国内における民間の臨床利用を承認したことは一度もないとしている。

 免疫療法は「第3類」の治療法に分類されている。すなわち、「倫理上の問題がある」「リスクが高い」「臨床レベルでの検証が必要」という意味だ。

 だが保健省は、主として民間向けの医療制度を管轄することになっており、軍病院についてはほとんど監督権限を持たない。軍関係の施設は軍の支配下にある。

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