もちろん「楽しさ」ばかりが人間関係の質を形成するわけではない。加藤氏は2つめのポイントとして「社会の期待に積極的に応えていく姿勢を、個も組織も持つこと」だと語る。

「毎年、定期的にビーチや山のクリーンアップなど、環境保全やボランティアの多様な活動に、社員が積極的に参加しています」

 社会との円満な共存を模索する、たばこ産業ならではの経営環境がそうさせる部分はある。だが、目的はそればかりではない。人材と組織の成長に欠かせない要素なのだと加藤氏。

オープンでフェアだからこそポテンシャルは開花する

 では、残る3つのポイントは何か? 先の話では、この3つが個の成長に大きく関わるということだった。

「まずは、オープンだということ。当社では経営陣と社員のダイレクトコミュニケーションとして『オープンドア』を四半期に1度行っています。オープンなのはそれだけではありません。採用についても、常にドアは開かれています」

 採用における独自の姿勢は冒頭で紹介した通り。

「空席ができてから中途採用を行う。それが普通かもしれません。しかし、企業プロフィール意欲のある優秀な人材は待っていてはくれません。まずはすばらしい個人ありきで組織強化を進めたいのです」

  次のポイントは評価制度。クロス評価や円卓会議などによって、フェアであることを徹底した評価システムが稼働している。パフォーマンス(成果)とポテンシャル(可能性)の両輪で、全社員が評価されるという。この精度の高い評価制度のもと、人材育成・評価が行われているのが最後のポイントだと加藤氏はいう。

「それはストレッチです。100の力を要する仕事を、あえて80の実績しかない人材に任せる。そうすることで、その社員は過去の自分を超え、100の力を発揮できるようになるという発想を実践しているのです」

  オープンにヒトを迎え入れ、つながり方の質を高め、フェアな評価のもとで、ストレッチによってポテンシャルを開花させていく。この繰り返しが、PMJ流の人材育成なのだ。

「とにかく扉は開いています。1人でも多くの人にコンタクトしてほしいと思います。自分のキャリアを積極的に開発したいという意欲溢れた方に、いつでも喜んでお会いしますから、私たちを見て、この会社の持つ独自の空気を感じ取ってほしいと思います」