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リニア新幹線「国家プロジェクト」化、採算や経済効果危ぶむ声も

ロイター
2016年7月22日
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安倍晋三首相が打ち出した経済対策では、リニア新幹線に財政投融資資金を投入し、東京─大阪間の開業を8年前倒しする構想が盛り込まれた。写真は、以前リニアモーターカーのテスト車両に乗車した安倍首相と米国のケネディ駐日大使。都留市で2014年4月撮影(2016年 ロイター/Koji Sasahara)

[東京 22日 ロイター] - 安倍晋三首相が打ち出した経済対策では、リニア新幹線に財政投融資資金を投入し、東京─大阪間の開業を8年前倒しする構想が盛り込まれた。未来投資の看板として「国家プロジェクト」化が鮮明になったが、採算性や経済効果などで先行きを危ぶむ声もある。大阪圏の政財界による活発なロビー活動が政府を動かしたとの指摘もあるリニア計画浮上の過程に迫った。

自主性と資金コストメリットで揺れるJR東海

 「政府の支援なんかいらない。金を出せば政治は必ず口も出してくる。もうこりごりだ。自己資金での計画ができているのだから、(JR東海の柘植康英社長は)財投活用にノーと言ってほしい」――。リニア中央新幹線のプロジェクトに関わったことのある東海旅客鉄道(JR東海)幹部の1人は、吐き捨てるように言った。

 安倍首相が参院選投開票日の翌12日に検討を指示した経済対策の柱は、財政投融資資金を投入し、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年前倒しすることだった。「未来投資」にふさわしい先端技術と経済効果への期待を兼ね備えた象徴的な事業であり、事業規模も9兆円と目玉政策として申し分ないように見える。

 国土交通省高官も「財投資金でより有利に資金調達ができ、工事を早めることができるならと、今回JR東海と話が折り合った」と話す。

 だが、JR東海側は「政府から具体的な提案を受けていない」(広報部)、「(財投資金の)受け入れを決めたわけではない。自己負担でリニア建設を行う方針は転換していない」(同)と主張し、両者の話はかみ合っていない。

 同社の柘植康英社長はロイターに対し、財投活用について「大変ありがたいことだと受けとめている。政府から具体的な提案があれば、民間企業として、経営の自由、投資の自主性を確保できること、さらには将来にわたって健全経営と安定配当を堅持できることを前提に、十分検討させていただく。民間会社として受け入れ可能な案を提示いただければ大変ありがたい」とするコメントを寄せた。

 JR東海では、旧国鉄時代の轍(てつ)を踏まぬよう、「政府の介入」に対する警戒感が根強い。また大阪延伸の工事を8年も前倒し着工することは、人手や工期などに相当の負担が発生するリスクがあるという。

 一方で、 財投資金投入により自社調達より低い利率の資金借り入れができれば、同社にとって調達コストが低下。メリットを享受できる。

 同社の資金計画では、工事進ちょくに合わせ16年以降およそ3兆円程度の長期債務の増加が予定されている。直近発行の同社20年債の利率は0.4%台だが、仮にその金利で3兆円を調達した場合には、20年で2400億円の利息がかかる。仮にゼロ金利で財投融資が受けられれば、その分が削減できる。

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