9万部を突破し大ベストセラーになった『毎朝、服に迷わない』の著者、スタイリストの山本あきこさんと、発売1ヵ月で10刷3万5000部を記録した『女の運命は髪で変わる』の著者であり日本初にして唯一のヘアライターの佐藤友美さん。人気書籍の著者として話題をさらっているおふたりに、お話を伺いました。山本さんはファッションの側面から、佐藤さんは髪型の側面から、ビジネスで成功する「できる女のつくり方」を語っていただきます。 

仕事ができる人間は、大体洋服が好き

 

オフィスでイメチェンするなら、2週間が勝負

――今日はオフィスにおける、できる人間がしている「服と髪」について伺いたいと思います。

佐藤 山本さんの書籍の感想に「山本さんのパーソナルスタイリングを受けたら、出世しました」というコメントがありましたよね。やっぱり、見た目は本当に大事だと思います。「信頼感」や「デキる女感」って、まず見た目で決まりますよね。

山本 そうなんですよ。私のお客様は、8割がお仕事をされているので、オフィスコーデの相談もよくお受けしています。

佐藤 オフィスでは、どんなことに気をつけたらいいんですか?

山本 やっぱり、自分の「見せ方」をちゃんと決めて、自分をブランディングすることですね。
最近も、転職を機にイメチェンしたいとのご相談を受けました。その方はプログラマーで、前職は堅い雰囲気のオフィスだったらしいんです。新天地は女子力がグンと高めとのことで、女性らしいファッションに切り換えたい、と。

佐藤 転職のタイミングは、イメチェンにうってつけですよね。

山本 その方には、「最初の2週間が肝心ですよ」とアドバイスして、キレイな色の服をたくさん着て、いろんな丈のスカートやパンツに挑戦していただきました。色と形のバリエーションが多いと「おしゃれな印象」が付くからです。2週間、これを定着させたら、勝ちです。

「似合う髪型」なんて気にしてはだめ

佐藤 髪も服と同じで「どう見せたいか」のブランディングが大事です。『女の運命は髪で変わる』にも書きましたが、「似合う髪型」なんて気にしてはだめです。それより、「なりたい自分になれる髪型」を選ぶのがポイントですね。

山本 それ、すごくよくわかります。

佐藤 たとえばシャープな前下りのボブは仕事ができそうに見えますし、ふわふわの柔らかいロングヘアは女性らしいイメージになります。自分がなりたいイメージを簡単に操れるのが髪なんですよね。

山本 私、お客様にファッションコンサルティングをするときは、最初に美容院に同行するんですよ。

佐藤 そうそう、山本さん、出会ってすぐにお客様の髪型をいじりますよね。スタイリストさんなのに、まず、髪(笑)。

山本 そうなんです。カウンセリングをしながら、「その人が目指す方向性」を探していくと、髪型がマッチしていないことが多いんですよね。ですから、ひっつめている髪をおろしてもらったり、髪の毛の分け目を変えたりして、その方にとって“一番してもらいたい髪型”を探すんです。
ショッピング同行のお客様は髪をいじるだけですが、ロングコースで複数回お会いする場合は、みなさん、必ず美容院へお連れします。

佐藤 美容院に行くのは、洋服を買う前ですよね?

山本 もちろん!先に髪を変えないと、どれだけ服をコーディネートしてもチグハグになっちゃうんですよ。

佐藤 同感です。私もまず髪を変えてから、髪に服を似合わせた方がイメチェンしやすいと思っています。服と違って、髪は脱げないものだから、そちらを基準にしたほうが、自分の理想のキャラづくりがしやすいんですよね。

山本 髪型を変えると似合う服が全然変わってきますからね。

「女だから」となめられないためには、
スーツ屋のシャツは買わない

佐藤 同じシャツとスカートのコーディネートでも、リクルートっぽく野暮ったくなる人と、おしゃれに「こなれた」雰囲気になる人と、差がある気がします。おしゃれに見えるポイントってどこにあるんでしょうか?

山本 ひとつは「衿を立てること」ですね。これだけで全然こなれて見えます。それから「シャツやジャケットはちょっとだけ裾をまくりあげて着崩すこと」。これだけで、できる感、信頼感が増しますね。

佐藤 『毎朝、服に迷わない』でも何度も出てきましたが、衿を立てて首を出す、袖をロールアップして手首を出すと、たしかに「仕事できるおしゃれな先輩感」が出ますね。

山本 お客様の中には、童顔ゆえになめられるお悩みを持つ方も多いので、このテクニックはおすすめです。
それから、新人っぽく見えるのが嫌なのであれば、スーツ屋さんで売っているシャツをやめることがおしゃれへの第一歩かもしれません。

佐藤 それはどうして?

山本 用途が違うんですよね。スーツ屋さんで売っているシャツは、衿をおろした状態で着ることを前提に作られているんです。だから衿が立てられないんです。形的にも、ギャザーがあって、フリルがついていて、第一ボタンからボタンを締めて……みたいな、決まった形になっています。
新人っぽいきちんと感を演出したいのであれば、こういったシャツを着れば確かに上司の好感度はあがると思います。けれど、ギャザーやフリル、ボタン全部閉めから卒業しない限り、いつまでたっても新人感は拭えないかなと感じます。

佐藤 なるほど。同じようなことが、髪でも言えるなと思います。たとえば、オフィスではひとつ結びにする人が多いじゃないですか。あれ、大人のこなれた女性は絶対にやらないんですよね。

山本 たしかに。同じひとつ結びでも、残念なひっつめと、こなれた雰囲気のひとつ結びがありますよね。

佐藤 服でいう「衿を立てる」「着崩す」感じは、髪で言うと、「無造作感」なんだと思います。結んだ後に、きゅっとひっつめられている部分を指で持ち上げて引き出して、まとまりすぎないルーズな雰囲気を出すだけで、一気におしゃれ上級者に見えますよ。

山本 結局、大人の女性がおしゃれに見えるためには“抜け感”が必要なんだと思います。立ち衿もしかり、腕のロールアップもしかり。ひとつ結びのルーズ感しかり。抜けがあればあるほど、上級者っぽくみえる。

佐藤 私もそう思います。