経営×統計学

世界から遅れつつある日本の統計学

【特別対談】東京大学・竹村彰通教授(2)

統計学の実力の差が、産業の差にもつながる

――たとえばアメリカと日本を統計学の面で比べると、どれくらいの差があるものでしょうか? あるいは日本人もなかなかやるぞと……。

竹村 圧倒的な差があります。人口比でいうと、アメリカは日本の2.5倍くらいだと思いますが、統計の力の差で言うと、感覚的には20倍。少なくとも10倍の差はありますね。たとえば日本統計学会の総会は毎年9月にあって、参加者は800人規模です(会員数1500人)。アメリカ統計学会は会員数が1万8000人もいて、1万人近い人が総会に集まってきます。人数面だけで見ても単純に10倍以上です。

西内 ああ、そこまで差がありましたか……。

竹村 アメリカで統計を勉強すると、就職先が大きく開けてきます。統計学の専門家にならなくても、製薬会社などのメーカーには多数の卒業生が行っていますから。乱暴に言えば、製薬会社のもっている統計力のポテンシャルの差は、日米で10倍あるということです。

西内 そうですね。製薬会社の開発力の差だけではなく、統計学の面での差は国家全体の競争力の差にも関わってくるはずです。

竹村 アメリカでは、統計学科だけでなく、数学科を出てもいろいろな就職先がありますよ。生物学でもバイオインフォマティクス(生命情報科学)のように数学を使う領域には数学を勉強した人が入り込んでいます。けれども、日本ではそういうケースは少なくて、完全に負けていますね。その差を埋めるには、「統計教育」を徹底して進めていくしかないのですが……。

(記事転載元/ダイヤモンド社書籍オンライン 2014年12月3日掲載「『統計学が最強の学問である[実践編]』発刊記念対談」第2回)

 

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