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「すぐ飲めるアルコール飲料」の市場で“甘くない”戦い

ロイター
2016年8月1日
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缶チューハイやハイボールなどに代表されるアルコール飲料、RTD(Ready to Drink)市場の拡大とともに、トップブランドをめぐるの争いがし烈になっている。写真は都内で2014年6月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 1日 ロイター] - 缶チューハイやハイボールなどに代表されるアルコール飲料、RTD(Ready to Drink)市場の拡大とともに、トップブランドをめぐる争いがし烈になっている。発売開始以来、トップブランドを守ってきたキリンビールの「氷結」をサントリースピリッツの「‐196℃」が猛追、今期の逆転を狙う。

 国内のビール系飲料市場(ビール、発泡酒、新ジャンル)は、人口減少や20、30年代のアルコール離れなどを背景に総需要が漸減傾向にある。高成長を続けてきたノンアルコール飲料も足元では伸びが鈍化。RTD市場は新たな「成長市場」として、各社が資金と技術力を集中し、「主戦場」となりそうだ。

9年連続で成長する市場

 RTDは栓を開けてすぐに飲める飲料で、缶チューハイや缶ハイボールなど種類はバラエティに富んでいる。

 2016年1―6月のRTD市場は、業界推定で前年同期比12―13%増と「ここ数年で最も高い伸び」(業界関係者)となった。年初は3―4%増とみられていた年間の伸びも2桁増が見込め、9年連続の市場拡大が確実となっている。2007年に比べると、市場規模は約1.7倍に拡大する。

 RTD人気は当初、市場をけん引した低アルコールで甘い味わいの商品から、甘くない、高アルコールの領域へと移ってきている。

 アルコール度数3%以下の低アルコール領域は縮小傾向にある一方で、8―9%の高アルコール市場は、2011年からの5年間で2倍以上に拡大している。「食事に合う食中酒として飲用シーンが広がっている」(サントリースピリッツの山本大輔部長)としており、主にビール市場から消費者が流れているという。

 業務用販売が前年割れになり不振が続くビール市場でも、家庭用の缶ビールは伸びている。景気の不透明感が強まると「家飲み」は増加する傾向にある。さらに景気悪化時には、高アルコール度数の飲料が好まれると言われており、消費者のニーズにマッチしたRTDが食卓に登場する場面も増えているようだ。

トップブランド逆転も

 15年のRTDの販売数量は、サントリーの5759万ケース(前年比14%増)に対し、キリンは4710万ケース(同7.5%増)で、サントリーが首位だった。16年、サントリーは「‐196℃」でキリンの「氷結」を逆転し、トップブランドの座も奪取しようという勢いだ。

 食事に合うというコンセプトを前面に押し出した「‐196℃ ストロングゼロ」は、2016年の販売計画を前年比8%増から同15%増(3150万ケース)に上方修正。「‐196℃」ブランド全体では、同20%増の3500万ケースを計画している。

 この目標を達成すれば、2001年に発売を開始し、2002年以来トップブランドだったキリンの「氷結」ブランドの計画(2.1%増の3380万ケース)を抜き去ることになる。

 ただ「氷結」ブランドも、上期は同10%増と好調。通期の計画を修正するかどうかは「8月4日の決算発表時に公表する」(広報)としており、現段階で計画の修正はしていないものの、着地は当初計画を上振れる可能性が高くなっている。

 RTD市場を「課題」と位置付けてきたアサヒビールも、満を持して4月に投入した新商品「もぎたて」が好調だ。初年度の販売目標500万ケースをすでに2度上方修正。今期は750万ケースを計画している。

 新商品が次々と出ては消える、競争の激しい市場。「300万ケースを超えれば、消費者への認知度は高くなっている」(業界関係者)と評価される業界で、アサヒも「定番商品」としての規模を確保しそうだ。

 一時は各社が競って参入したノンアルコールビールテイスト飲料市場も伸びが一服。個性を競うクラフトビール市場はまだまだ規模が小さく、ビール系市場を押し上げるには力不足だ。

 こうしたなかで、ウイスキーの人気化、ワイン市場の拡大と並び、2桁成長のRTDをめぐり、各社の競争はさらに激化しそうだ。

 ただ、せっかくの新商品も、日本国内だけに投入するパターンを繰り返していると、販売数量が頭打ちになり、研究・開発に投入した資金に比べ、販売で得られる利益水準が相対的に低いという傾向をたどりかねない。

 サントリーでは、訪日客に「ほろよい」が人気というデータに基づき、今年6月から韓国への輸出を開始。今後は、海外での広がりも注目されそうだ。

(清水律子 編集:田巻一彦)

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