住宅は住み替える
前提で造りたい

 ストック型社会、というのは、住宅を「世代を超えて蓄積する資産」と考える社会のこと。そのためには家を長寿命化させて持続可能な社会の形成を促し、住宅建築による環境負荷を減らすとともに、家の維持管理においても環境負荷低減を図っていくことが大切だ。

「たとえば太陽光発電の導入だけでなく、雨水の利活用も進めたいし、植物による緑のカーテンで省エネを図れるように、ベランダに園芸用の蛇口を設けたい。さらには堆肥を作るコンポストも標準装備して、日常の生ゴミ処理に充てるとよい。建材などに凝るのも付加価値になるが、環境によい暮らし方を支えるのも、これからの住まいの付加価値になるのです」

 こうしたことは、「気持ちがエコ」になるだけでなく、暮らしの維持費にはね返ってくる。「イニシャルコスト+ランニングコスト=トータルコスト」で住宅建築を考えていく視点が大切なのだ。さらに、定期的にメンテナンスを行い、将来は大規模リフォームも行うことを想定、修繕や住宅再生をしやすくしておくことも重要になる。

 建てた自宅はもちろん「必ず売る」ものではないが、「いつでも売れる」状態に維持管理していくことで、おのずと資産価値が高まる。流動化しやすい資産を持つことは、生涯設計においても重要なポイントといえる。

所有から利用へという
流れを時代が後押し

所有から利用へ、という世の中の流れは、さまざまなかたちで目につき始めている。

「環境」が住宅の付加価値になる時代。 より人間の行動原理にかなったおカネの使い方をすべきです。

新築マンションでカーシェアリングを導入するところが出始めたのも一例。車は必要なときだけ借りて使うことにすれば、ムダなエネルギーを消費しない。将来的にはコンビニエンスストアをカーシェアリングの拠点にしていく構想もある。

「僕は照明の蛍光灯も家庭のテレビも、リース式になればいいと思っています。自分で所有すると思うから、より多機能な高額の商品を買うけれど、明るさや番組を見るという機能だけ求めるのなら、シンプルで故障しにくければ十分、使用料は安ければ安いほどいいのです。一方、リース業者も安くて長持ちするものを追求する。結果として大きく環境に貢献していきます」