人気ブランド、トップショップを含む“ファッション帝国”アルカディアを経営する英国ビジネス界の将軍、サー・フィリップ・グリーン氏は、2ヵ月前にデービッド・キャメロン英首相に、政府のムダづかいを調査するように依頼された。

 その任命が発表されたとき、英国では大きな論争が起きた。アルカディアは、彼の妻が所有するかたちになっており、彼女は非課税のモナコに住んでいる。「フィナンシャルタイムズ」紙によれば、2005年の場合、12億ポンドの納税回避になっていたという。「ガーディアン」紙は、「あきれて言葉が出ない。連立政権を組む自民党がグリーン氏の任命を批判しなかったのは恥だ」と激しく批判した。

 物議を醸したグリーン氏だが、その報告書が10月11日に公表された。政府全体で発注をまとめれば、大幅な購入価格引き下げができると指摘されている。たとえば、同じ商品なのに、パーソナルコンピュータの購入価格は353~2000ポンドとばらつきがあった。プリンタカートリッジは86~398ポンド、プリント用紙は1箱8~73ポンドであり、割高な購入が多く見られた。また、通信費だけで6億~7億ポンドの削減が見込まれるという(「タイムズ」紙)。この報告書を利用して、英政府は徹底的なムダの削減をアピールしたがっている。