大山 大切なのはデータの量ではないですからね(笑)。たとえば「この指標について、この数値はいいのか悪いのか」ということが評価・判断できるツールが出てきて、初めて現場と経営陣が共通言語で話せるようになると思います。

本荘 御社がやっていることというのは、まさしく共通言語で話すためのプラットフォームづくりですよ。

大山 お客様からいろいろうかがって、私たちも勉強になっています。ある企業では、現場の方がKPIレポートで「フォールアウト(サイトの特定ポイントからの離脱のこと)」を、わかりやすくかみ砕いて「もったいないレポート」という名前にして、データ化し、経営陣に提案したそうです。

本荘 それはすばらしい。「フォールアウト」と聞いて、それがコンバージョンに至らなかったユーザーだと説明されても、今度はコンバージョンの意味がわからなかったりという悪循環に陥ってしまいます。じつは、そんなことを気にする必要はないのに。

大山 どれだけ「もったいないことをしてきたか」が数値化されていれば、そこから「経営をよくするためにはどうすればいいか」や「お客様の満足度を高めるにはどうすればいいか」といった大きな目標について、語り合えるわけですからね。

 「デジタル」はシステムではなくヒトへの投資

本荘 もう一つ、デジタルマーケティングにおいて現場と経営層をかい離させてきた原因の一つは「情報システムに投資している」という経営陣側の認識だったと思います。システムだと思うから「わからない」となる。けれどもデジタルマーケティングの場合は「お客様に投資している」ととらえたほうがいい。

大山 ウェブにせよ、モバイルにせよ、お客様の声を直接聞くことのできる道具ですからね。データはそのためにあるし、ビジネス目標を定量的に見て、達成していく投資だと考えてもらえれば、わかりやすいはずなんです。

本荘 デジタルの時代には、多様な接点がお客様とのあいだにどんどん発生していく。そのディテールの一つひとつをパッチワーク的にとらえても、大きな経営目標には結び付かない。

大山 だからこそ企業の経営層と現場が共通言語で語り合い、お客様の声を共に聞くための統合的なプラットフォームが必要だと思いますし、私たちをぜひもっと活用してほしい。そう思っています。