そして、社会的な要因も世論調査自体を難しくしている。対面といっても防犯上の観点からそれは昼間に限られるだろう。そうなると回答者の年齢層や性別も限られてくるし、そもそも居留守を使う人も多くなっているという。

 その問題点を克服する上で行われている電話調査にも限界がやってきたようだ。いまや日本人の携帯電話使用率は、固定電話のそれをはるかに超えた。中には、携帯電話しかもたない若年層も増えている。そうした層の意思を反映させずに「世論」といえるのだろうか。

 同じRDD方式ならば、携帯電話の調査も可能なのではないか。松本教授に聞いた。

通信量が全体の5割を超えた
携帯電話は世論調査の対象にできないのか

「固定電話の最初の4桁は地域を指すものです。そのデータは世論調査に不可欠な情報となっています。仮に〈090〉などで始まる携帯電話による調査を行うと、これまでのデータとの整合性がなくなり、別の調査データとなってしまいます」

 なるほど、では、固定と携帯を融合させた方式にするのはどうなのか。

「データが混合するということは、恣意的な要因が入り、調査自体の客観性が減少します。どちらのサンプルをどの程度という配分を変えるだけで数字の結果は変わってくるのです。現時点では確立していません」

 現在の民主主義において、世論調査が欠かせない指針となっていることは否定しない。だが、それはあくまで参考程度にとどめるももので、金科玉条のごとく崇め、政治がそれに左右されてはならないと思う。

 なにより、ここまで書いた通り、世論調査が絶対的な「世論」でないことは明らかだからである。