在韓国日本大使館(写真)前に建てられた慰安婦像の撤去は、うやむやにしたままの財団発足だった

 先月二八日、昨年の日韓合意に基づいて韓国の元慰安婦を支援する財団(『和解・癒し財団』)がソウル市に設立された。日本政府はこの財団に十億円を拠出する方針だ。

 日本政府としては、日本大使館前に建てられた“慰安婦像”の撤去を要請しているが、そのあたりのことをうやむやにしたままの財団発足だった。そのため、韓国政府が努力しているようには見えない、十億円を拠出しただけで終わってしまうのではないかとの不安も政府与党内にはある。

「朴槿恵大統領は慰安婦像撤去のための努力をしないだろう、という見方もあるようですが、それは間違い。彼女は、二〇一八年二月の任期切れまでの間に何とか慰安婦像を撤去したいと考えている。大統領になって以降、内外で業績がほとんどない彼女にとって、日韓合意は唯一の成果。日本との約束を反故にして、その業績に傷がつく事態は避けたいのです」(ソウル特派員)

 だが、作家で島根県立大学名誉教授の豊田有恒氏は、慰安婦像の撤去については懐疑的だ。

 〈慰安婦に関する日韓合意は、日本人の大好きな玉虫色の決着だが、韓国相手では、火種を残すだけに終わるだろう。慰安婦像の撤去の約束も、守られることはあるまい〉

 何故なら、韓国は慰安婦問題を必ず“外交カード”に使ってくるからだという。記憶に新しいところでは、勝手に竹島に上陸したうえ、天皇陛下が土下座して詫びるなら韓国に来いという意味の発言(オリジナルの発言はもっと侮蔑的)をした李明博前大統領だ。前大統領は慰安婦問題の解決(=謝罪と賠償)を野田佳彦総理(当時)に求めたが、首脳会談の席で、

「(日本が韓国の要求に応じなければ)第二、第三の慰安婦像が立つだろう」

 といった発言もしている。一国の大統領が天皇陛下を“日王(天皇の蔑称)”と呼び、返す刀で総理をも脅したのである(韓国は新聞などのメディアも日王の表記を使っている)。

 韓国では、慰安婦問題を政治問題化しないと言いながら、大統領の支持率が下がると反日的な発言や行動に出て支持率を戻すという実にわかりやすい構図がある。日本を叩けば叩くほど韓国民は喝采を送るのだ。

 昨秋、靖国神社のトイレに爆発物を仕掛けて逮捕された全昶漢容疑者ですら韓国民は英雄視し、先月、ソウルで開かれた自衛隊創設六十二周年を記念するレセプションを阻もうとし、イベント関係者が乗った車両の前に横たわった市民団体のメンバーを韓国のネットユーザーはこんなふうに評した。