いまやプレゼンテーションは、誰にとっても身近な存在、必要なスキルとなっている。一時まで、プレゼンテーションは売り込みのイメージを伴って、営業担当の仕事のように思われていた。

 だが、現実はそうではない。広告会社では、クライアントの前でプレゼンテーションを行うのは営業ではなく、クリエイティブと呼ばれる制作担当者である。広告提案の内容を制作したものが、プレゼンテーションを行うのである。

 システム設計に携わる技術者も、仕事の現場では、プレゼンテーションをしなければならないことが多い。営業の人間よりも、技術者のほうが、プレゼンテーションを行う機会が多いという会社もあるくらいだ。行政の職員も、住民や関係者と称する人たちを対象に、「説明会」という名のプレゼンテーションを行っている。

 このように、誰もが、いつプレゼンテーションを担当する機会が訪れるかもしれない状況にありながら、

・ プレゼンテーションは苦手だ
・ 中身は何とかなるが、それをうまく表現できなくて、困っている
・ うまくいったと思うのに結果はその逆で、どこに問題があるかわからない
・ 技術者で口ベタだから、できれば担当から外してほしい

 などの不安や悩みの声を耳にする。

 その一方で、

 「プレゼンテーションが上手にできるようになりたい」
 「競合プレゼンテーションでは、他社に勝って、何とか仕事を取りたい」

 と願う声も、現実にはたくさんある。では、どうすれば、「プレゼンテーションがうまくなる」のだろうか──。この問いに答えていくのが当連載である。

 当連載では、回を追って「プレゼンテーションの技術」と、「コミュニケーション全般についての心得」を学んでいくことになる。プレゼンテーションの機会がある皆さん、コミュニケーション全般に関心のある皆さんのお役に立てば、こんなに嬉しいことはない。

 では今回は早速、短期間で上達するために必要なプレゼンテーション・スキルについて学んでいこう。