1台のバスに2人もガイドを乗せて成功しているバス観光があると聞き、興味が沸いた。

「感謝オーライ! 歌う昭和の名ガイドと行く あの歌この歌東京ドライブコース」

 現役ガイドと往年の名ガイドがコンビを組み、昭和の名曲をカラオケで歌いながら、東京の街を巡る。約2時間半で、料金は2500円。途中、靖国神社で30分間の休憩を挟むほかは、ずっとバスに乗りっぱなし、というコースである。

名刺でも人を楽しませてくれる
はとバス社員の遊び心

 インターネットで予約を入れ、出発地点である東京・浜松町のバスターミナルへ。そこでまず、はとバスの広報担当者に会う。

「よろしくお願いします」とあいさつを交わし、もらった名刺に目を落としたとたん、見てはいけないものを見てしまった気分になった。

 紫の地色に白字ででかでかと、「気になる臭、はとばちゅ。」と書いてあるのだ。

 それにも増してインパクト大だったのが、彼女の名前。

「永井モンロー麻里」

 モ、モンローですか? ふいに、頭の中を「マ、リリーン」と『1986のマリリン』が流れる。年がわかって気恥ずかしいのだが、亡くなった歌手、本田美奈子のヒットソングだ。

 名刺に刷るくらいだから、きっと、冗談ではないだろう。冷静を装い、「ひょっとして、ハーフの方なのでしょうか?」と聞いてみる。

「ええ。母親がタイ人なんです」と笑って答える永井さん。

 どうりで、生粋の日本人に見えるはずだ……と半分は納得しながらも、肝心の疑問が解消されたわけではないことにも気づく。

「つまり、それはミドルネームかなにか?」

「いいえ。おもしろいからモンローでいこう、と上司が言いまして」

 なんと、ただの冗談だったのか……。

 はとバス、油断ならない会社である。

60歳以上の女性客も嫉妬する?
72歳ベテランガイドの「若さ」と「美しき声」

 午前9時20分。出発時刻の10分前から乗車案内が始まる。全員が席につき、いざ出発という段階になって、1人の乗客が言う。

「そうだ、ジュース買ってから行こうかしら」