経営×ソーシャル

あらゆる個人情報が取得できる時代に、生き残れる企業の特徴

 もう一つ例をあげます。全く関係ないと思われていた女性と男性の行動履歴から、2人が同じ時間に同じ場所にいたことがわかったとします。さらにそのとき、高いワインが一緒にあったという情報がわかると……この2人の関係が類推できるようになります。

 このように、すべてのヒト・モノの属性と時系列的位置情報を記録することで、情報をつなぎ、意味を付与することが可能になる。ここで出てくるのが、プライバシーの問題です。自分がいつどこにいたかという情報は、パーソナル情報の中でもセンシティブなものとして扱わざるをえない。プライバシーを考えるときにすべてを公(パブリック)にするか、完全に私(プライベート)として秘匿するか、という二項対立になると話が進みません。

 そこで、その間にある共(ソーシャル)として、許しあった仲間にだけ見せるというのが、現実的であると私は考えています。つまり、共の場であるプラットフォームに許諾を与えながら、情報を集める。そして、共の場であれば情報が使えるようにするのです。閉ざされた空間、許しあった仲間だからこそ、他の人には見せないような情報を出そうと思える。すると、そこには価値ある情報が集積していきます。

 この「見せてもらえる特権」が得られることこそが、これからのビジネスの重要なポイントになってくるでしょう。信頼が最大の武器となるのです。テクノロジーの話をしてきたのに、最終的に言うことがやや古臭くて恐縮ですが(笑)、何でもつながれる、見えてしまう時代であるからこそ、信頼されることが大切なのです。例えば、これから車の自動運転技術なども、実用に向けて本格化していくと考えられますが、安全に関する情報などは自分が信頼できる相手にしかデータを預けたくないですよね。つまり、信頼される企業は見せてもらえる特権が得られる。このポジションを取れるか取れないかが、ネットワーク時代の企業にとって非常に大きなポイントになってきます。ネットワーク時代に信頼されない企業はそのままでは存続できないので、信頼される企業の下請けとしてビジネスするようになるでしょう。

 信頼というのは、大昔から本質的には変わらない部分です。そこを見据えながらも、最新の技術を取り入れて、今の顧客のニーズに的確に応えていく。それが、これからの企業の生き抜く道であると考えています。

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