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安東泰志の真・金融立国論

小池都知事の公約「アジアNo.1国際金融市場」は実現するか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第72回】 2016年8月22日
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7月31日の都知事選挙は、特定の政党の推薦を受けずに出馬した小池百合子氏の圧勝となった。最大の勝因は、都議会自民党や自民党都連の意思決定の不透明さと、その背後に見え隠れする利権の存在に光を当てたことであろうが、先月指摘したように、他候補に比べて、成長戦略面で極めて明確な政策を打ち出していたことも大きい。中でも、「東京をアジアナンバー1の国際金融市場として復活」という公約は目を引くものであった。今回は、小池新都知事の最大の成長戦略と言っても過言ではない「東京国際金融市場構想」を実現するために何が必要かを考えてみる。

小池都知事の成長戦略
金融先進都市構想で3つの具体策

「東京国際金融市場構想」実現のために、東京都としては今後、何をすべきなのでしょうか

 小池新都知事は、「ダイバーシティ」が実現することを前提に、「スマートシティ」という成長戦略を掲げていた。「スマートシティ」という言葉も、「環境先進都市」と「金融先進都市」であると明確に定義され、それぞれに具体的な政策が書き込まれているなど、他候補の追随を許さないものであったと言える。

 このうち、金融先進都市構想に関しては、(1)東京をアジアナンバー1の国際金融市場として復活、(2)フィンテックの活用を含め東京版グラミン金融(小口無担保融資)を推進、(3)中堅中小企業の事業承継等を支援し、新規事業者の参入を支えるため都内の事業再生・ベンチャーファンドの育成、という3つが具体的に例示されている。

 フィンテックやPEファンド(事業再生・ベンチャーファンド)の育成は、後述するように、東京国際金融市場を実現する上でも避けて通れない政策であり、小池都知事の視点は正しい。問題は、それをいかに実現するかだ。

東京国際金融市場に関する
これまでの取り組み

 東京国際金融市場構想については、色々な場で議論がなされてきた。最近では、大きく分けて、(1)東京都が独自に研究していたもの(東京国際金融センタータスクフォース)、(2)その発展形として国や経済界が参加したもの(東京国際金融センター推進会議)、(3)証券界が独自に構想したもの(東京国際金融センターの推進に関する懇談会)がそれぞれの意見表明をしている。

 まず東京都は、副知事を座長とするタスクフォースにて、民間の銀行・証券・生損保などからの意見聴取を行い、(1)海外の企業・人材が東京でビジネスをしやすい環境作り、(2)国内外からの資金を、今後国内で成長が見込まれる分野へ呼び込む仕組み作り、(3)国内の金融資産を、預金中心からその他金融商品への運用に広げるための仕組み作り・商品開発、(4)国際金融センターで活躍できる人材の育成という4つの課題に集約した(2014年7月11日)。その上で、これら4つの課題に取り組むために、国と民間金融機関等を加えて国際金融センター推進会議を設置した。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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