大都市と地方都市では
圧倒的に給与水準が異なる

Uターン転職が盛り上がらない本当の理由あこがれの地方転職。同じ「部長職」でも年収は3分の1に激減することもあるそうです

 7年前、私たちは日本各地の志を共にする人材紹介会社をネットワークしてUターン・Iターンを中心とした転職を支援する会社、リージョナルスタイルを設立しました。加盟企業が増加していることもあって、リージョナルスタイルの転職決定者数は毎年10%以上伸びています。

 ただ、この数字をもって東京をはじめとする大都市から地方への転職が盛り上がっているかというと、必ずしもそうとは言えません。Uターン・Iターン転職支援に取り組んでいる他の人材紹介会社を見ると、かなり苦戦しているからです。

 なぜUターン・Iターン転職が苦戦しているかというと話は単純で、ダイヤモンド・オンラインを読んでいるようなビジネスパーソンにとって魅力的な求人が地方にはあまりないからです。

 多くの地方企業が土俵にしているのは、自社のある県やローカルエリアです。そのため、東京で働いているときに味わった最前線感は非常に薄くなります。また、ローカルエリアで勝負しているということはマーケット規模も小さく、必然的に給与が下がります。

 たとえば東京で1200万円の給与をもらっていた方がある地方の中小企業に転職した例では、400万円へと実に3分の1に下がりました。どちらもポジションは同じ部長職であるにもかかわらず、です。要するに、地方へ行くと400万円が管理職の給与になってしまいます。また、ある地方で優良企業とされている会社が工場長を募集したとき、給与を確認したら500万円でした。それぐらい地方の給与水準は低いのです。

 このため、地方へ転職する人は介護や育児など何らかの特別な事情を持っている人が多くなります。事情がなければ1200万円の仕事から400万円の仕事に転職しようとする人はあまりいないでしょう。そして、特別な事情がある人はほんの一握りです。

 視点を地方企業の側に移すと給与水準が低く、魅力的な仕事のオファーをあまり出せないために優秀な人材を中途採用できないという状況に陥っています。

地方への転職を増やすには
魅力的な求人を増やせ!

 そこで私たちが取り組んでいるのが、顕在化していない求人の掘り起こしと給与水準の向上です。もちろんすでに顕在化している求人をいただいて人材を探すこともしますが、「御社がビジョンを実現するにはこういう人を採用すべきではないですか?」「後継者はどうお考えですか?」「二代目の番頭となるべき人材は採用できていますか?」などとアプローチし、アッパーポジションのニーズを掘り起こしているのです。リージョナルスタイルが好調なのは、この取り組みが大きく影響しています。

 そして優秀な人材を採用するためには給与の向上が必要であると、経営者への働き掛けを行っています。