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日本選手が五輪で実力を出し切れるようになった理由

相沢光一 [スポーツライター]
【第410回】 2016年8月23日
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 リオ五輪は日本選手のメダルラッシュが見られ、連日列島が沸いた。

 金12、銀8、銅21の計41個の獲得メダル総数は前回のロンドン五輪の38個を抜いて過去最多。現在の日本のアスリートのレベルの高さを世界に見せつけた大会だったといえる。

日本選手が予想以上の活躍
なぜ筆者の予想は外れたか

 前々回の当コラムでは恥ずかしながら「ロンドン大会並みのメダルを獲得するのは難しそうだ」と書いてしまった。大外れである。

 その理由を要約すると、ロンドン大会で11個ものメダルを量産した競泳陣が萩野、瀬戸、金藤といった実力者はいるものの他に有望な種目は少なく、獲得メダルが大幅に減りそうだったこと。柔道の復活や男子体操、女子レスリング、バドミントン女子などの活躍は予想通りだったが、他の競技を見渡すと競泳で減った分を埋めるほどメダルを獲れるとは思えなかったからだ。

 ところが競技が始まってみると連日のメダルラッシュ。「あの競技でメダル?」、「この選手が獲ったの?」という驚きの連続だった。

 これまで五輪の前になると各競技の展望記事を書いてきた。展望記事は希望的観測含みで書かれるのが常だ。選手の実績を調べ、コーチなど関係者から話を聞くなどして競技力を判断する。関係者は期待感から強気のコメントをすることが多い。加えて実績を見て、この3年以内くらいに世界選手権で上位入賞していたりすると、「世界のトップとも互角に戦える力をつけており、五輪本番でも実力を発揮できれば、メダルにも手が届く」などと書くわけだ。

 書く側も選手の頑張りがメダルという結果に結びついてほしいという思いがあるし、競技や選手に対する注目度を上げたいということもあって、こうした記事になる。だが、過去の大会を振り返ると、展望記事通りになるケースは少なかった。4年に一度の大舞台での重圧は計り知れないものがあるし、ライバルたちの勝負に懸ける意気込みもすごく、実績通りの結果を得ることは難しい。筆者にあるそんな刷り込みが、前々回のコラムにつながったともいえる。

 ところが今大会の日本選手は違った。多くが世界選手権と同等、いや、それ以上の成績を収めた。それどころヵ国際大会の経験がほとんどないにもかかわらず、メダルを獲得した選手もいる。男子レスリング・グレコローマン59キロ級で銀メダルを獲得した太田忍、フリースタイル57キロ級でやはり銀メダルを獲った樋口黎はともに世界選手権に出場したことがない。昨年の全日本選手権を優勝し、今年3月の五輪アジア予選で好成績を収め、やっと出場権を得た選手だ。そのふたりが、世界選手権で上位に入った実力者を次々と破り、銀メダルを手にした。この活躍はとても予想できない。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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