先日テレビ番組で公務員制度改革について議論した際、複雑だからやむを得ないのですが、意外と多くの人がその全体像や問題点を正しく理解できていないのでは、と感じました。そこで、今回は公務員制度改革の現状と問題点を簡単に整理してみたいと思います。

霞が関が高齢者で溢れかえる!

 民主党はマニフェストで公務員制度改革の遂行を掲げていましたが、現状では完全に骨抜きになった感があります。これまでも、新たに設置された内閣人事局には人事院や総務省が持つ公務員制度関連の権限が移されていない、降格人事の規定も幹部クラスに限定されていて意味がない、などの問題がありましたが、天下り問題への対応は、特にひどいものとなっています。

 民主党は、天下りを禁止し、キャリア官僚も定年まで働けるようにする、とマニフェストで約束しました。しかし、それを実行すると、幹部クラスの公務員の数が減らないので、そもそもポストの数が足りないし、各省庁の中には高齢者が溢れかえることになります。

 実は民主党は昨年の日本郵政の社長人事の際に、「政治家の口利きで公務員OBが民間企業に行くのは天下りではない」というひどい対応をしたのですが、それだけでは限界があります。そこで政権は、官僚の知恵を借りて、天下りを禁じる代わりに幹部公務員の民間出向を大幅に増やそうと決めました。

 しかも、そのためには様々な規定を改正しないといけないのですが、あまり一気にやるとメディアの批判を受けるので、あまり目立たないように徐々に改正を行なってきています。